予測する危機
31から39の敵は油断だけは許さない相手だった。
どの敵もHPも低く防御も弱い。
ただし、破壊力だけは危険なレベルで、革系装備の俺だと二発で十分死ねるらしい。
らしいで済んだのだからよかった。
まさに攻撃こそ最大の防御という形だった。
敵が攻撃を放つ前に叩き込み沈める。
トカゲ型やリザードマン系はこれでよかった。
37層から出てきたミニドラゴン。
通称ミニドラ。
こいつがやっかいだった。
二本足で立ち、姿としてはティラノサウルスに大きな翼をつけた感じだ。
しかし、その翼で重たい体を空中にあげるだけの浮力は得られないようだ。
ぴょこんと飛び上がることがあってもそのまま落下してくる。
まさに隙だらけだ。
サイズも高さ1.5メートルぐらいで脅威を感じさせない。
正直可愛い気もするぐらいだ。
その口から吐かれる火も可愛いサイズなわけだが威力は冗談じゃない。
「止めるよ!」
とイオが仲間とミニドラの間にすべりこみ火炎に向けて盾をかまえたときだった。
イオの盾が消し飛んだ。
全員が唖然とした。
みんなは唖然とするだけで済んだが俺はイオが死にそうになる瞬間を見てどれだけ寿命が縮んだかわからない。
もう一度街に残る様に言いたくなった。
それでも何も言わなかったのはイオも同様に俺が1人死地に行くのは許せないだろうと気づいたからだ。
この世界は大切な人間が少ないほどいい…。
その火力にプラスして硬い鱗。
生半可な攻撃は通じない。
魔法も反射してくるその体は、重たい攻撃で轢き潰すことでしか崩せなかった。
しかし、火炎攻撃が幸い速度が遅いので回避することは簡単だった。
隙も大きいので重たい攻撃も十分に狙える。
だが、俺達は誰も言葉にしないがボスとして待っているやつを予測した。
ドラゴン…。
空想上の生き物でありながらどんなゲームの世界でも強敵の代表格だ。
ミニドラとは比べ物にならない巨体で俺達の前に立ちはだかってくるだろう。