損得の計算
俺達は約束を守った。
ボスに挑戦する前に互いに約束したことを。
こうやって俺達は約束の履行を重ねてもっと上を目指す力にする。
「かなた君。次は何する~?」
「かなたは私とプラネタリウムに行きます!」
「それじゃ私も~。」
そんな俺の自由意志のないやりとりが何度あっただろうか。
ミーミルを遊び尽くした気もしているが、2人にはまだまだ遊びたいところが残っているらしい。
俺みたいな人間にはいまいちわからないが、2人といるだけでも楽しいのでそれでいいことにした。
しかし、プラネタリウムの後に前衛と後衛の違いがでてきた。
姉さんに疲れが見える。
遊び疲れなんて贅沢な話だけど。
後方で指示や詠唱をしている姉さんと戦闘中飛び跳ね続けるシエラとは体力が違う。
「姉さん帰ろうか?」
「そうしなさいな。」
シエラが楽しそうに言っている。
宿まで一緒に帰った。
そして、部屋まで送り届けると再び引きずられて部屋を出た。
「次はどこにいこうかなー。」
俺にはどうせ自由はない。
と思っていたが意思と保身のチャンスは到来した。
宿の出口にはレオとリンカ。
レオとの約束もあるし二人っきりじゃなければイオの怒りも緩和されるはずだ!
二回殴られるくらいで済むはず。
「リンカ。遊びに行かないか?」
まだこっちに気づいてない間に声をかけてみた。
「ひぅ!?」
ゴスロリ少女は執事の裏に隠れてしまった…。
ちょっとショックだぞ…。
そして、襟元をつかまれ後ろに引き倒された。
シエラがレオとリンカの前にそっと屈む。
視線の高さを同じにしてにこりと微笑む。
「怖いお兄ちゃんのことは忘れて。私と遊びにいこうよ。」
「…はい。」
怖いお兄ちゃん呼ばわりに文句は言いたい…。
そのおかげでレオとの約束も果たせるのだ。
「それでどこいくか決めてるの?」
シエラが聞いてくる。
無計画なのでどうしようもない。
「えーっと…。」
レオとシエラの期待の目が辛い。
「私…。行ってみたいお店があるんです…。」
そんな困っている俺を助けてくれるのはリンカだった。
少女に気を使わせて申しわけ無い…。
「それではそこに行きましょうか。」
それから、ほんとにどうでもいいような話をたくさんした。
リンカの笑った顔は可愛らしかった。
こんな笑顔が見れるのもレオとシエラのおかげだ。
もしもレオが次のボスで死んでしまったら…。
この少女の心は再び凍りついてしまうのだろうか。
その心を俺達にどうにかすることはできるのだろうか。
被害0なんてただの奇跡だ。
ベストの準備をしてでも必勝などありえない。
現に俺は死にかけた。
そして、俺が死ねばきっと俺との繋がりのある人は悲しみに包まれただろう。
それだけのリスクをかけてここを出ることに意味があるのか。
誰にも言えないそんな思いが俺の中に潜んでいることをしった。
明日から再び三日ほど休まなければなりません。
復帰後また読んでいただけるようお願いします。