少しの平穏
俺が意識を回復した時にはミーミルの宿のベッドの上だった。
だいぶ体調はいい気がする。
そんなことよりもだ…。
イオが俺の胸の上に覆いかぶさる様に眠っている。
強気な瞳は閉じられ、単純に可愛い。
しなやかな黒髪をそっとすいてみる。
「んん・・・。」
可愛い声が漏れる。
その声に俺は撫でたい衝動を抑えられなかった。
気持ち良さそうにイオの顔も綻ぶ。
そして、気持ちのいい朝が来た様にゆっくりと瞳をあけた。
目が合う。
・・・。
飛び起きた。
「見た!?」
「見てない!」
「うそ!」
「すまん!可愛かったのでついみとれてた。」
これでイオは文句を言えまい!
ねじれるよりも素直に直球勝負をした方がイオと話す時は効果が高いな。
それから5分ほど顔を真っ赤にするイオを愛でた。
俺はイオの男勝りな凛々しさに惚れたと思っていたけど全部に惚れていたらしい。
「・・・氷花さんとシエラが隣の部屋で待ってるから。」
恥ずかしさを紛らわす様に伝えてきた。
あんまりいじめるのも良くないのでちょっと行ってくるか。
「じゃまた後でな。」
ーーー。
「姉さん入るよ。」
扉をあけて入る。
にこやかなシエラと不機嫌顔の姉さん。
「姉さんって私のことよね。」
「姉さんって私のことだね。」
見事にハモっている。
そういうことか。
「氷花姉さんのことです。」
「もう!素直じゃないんだから!」
シエラが左腕に巻きつく。
胸をあててくるな!
姉さんが鬼の形相じゃないか!
でもこれはこれで良いので口にはださない。
「ノルンも小さいねー。姉さんが二人ぐらいいてもいいじゃない。」
「うちの弟に手をださないでください!」
もはや喧嘩だ。
しかし、厳しくも優しい姉さんとエロい姉さん・・・両方ありじゃないか!
「遊び行こう。かなた君借りてくね!」
シエラに引きずられる。
「待ちなさい!」
右腕の姉さんが巻きついた。
ある意味両手に花だが・・・イオに見られたら殺される・・・。