再会
情報収集と言ったがどうすればいい・・・。
姉さんの知り合いが都合良くいると思えないし、そもそも俺は姉さんのLL上の名前すら知らない。
そんな風に悩んで歩いていると声をかけられた。
「かなた?」
「えっ?」
振り向くと赤のコートを着こんだ赤毛の男がいた。
銀のモノクルがしぶかっこいい。
「ヴェル?!」
「来ちゃったんだね。プレートに名前が無いから少し安心してたんだけど。」
そいつはやっぱりベルヴェルクだった。
それにしても、種族はウォーウルフ族のようだがワイルドさが微塵もない。
狐系のふさふさ尻尾が可愛すぎる。
そして、いい人オーラが出すぎているほっそりイケメンさんだ。
ちなみに、プレートというのはメンバープレートの事で、始まりの街に置いてある石碑の事だ。
ダイブインしてる全ての名前が書き込まれ、ダイブアウトすると白文字のそれが黒にかわる。
デスゲームになった今では生死が確認できる意外の意味は無くなった。
「まぁな 後追いってやつだ。」
情報収集をしていて知ったのだが、デスゲームになり、ダイブイン時に注意書きがでるようになってから来た人間が8人いたらしい。
つまり、俺が最後だったわけだが、その8人を「自殺志願者」または「後追い」というらしい。
死んでいるのに生きているのと生きているのに死んでいるのをかけるなんてなかなか皮肉が効いている。
どうも後者の方は俺が語源の様だが、追跡者とはひどい言われ様だ。
「そうなんだ。何を探しに来たの?」
「名前は知らないけど家族なんだ。」
「そっか。クリア目的なんだね・・・。」
「ヴェルだって弓を担いでるとこ見るとそうなんだろ。」
「生きるためにココにいるんだよ。」
貧困に喘ぎたくないという意味だろうか。
「リルとか食材目的ならいつでも言ってくれよ。LL売ってもらった借りはしっかり返すからさ。」
「じゃ早速、街の外でゴブリン狩りでもしようか。」
姉さんのことも気になるが、簡単に死ぬ人じゃないし、最終的に目指す場所は一緒だ。
まずは、クラスをあげ、行動範囲を拡げなければ会えないだろう。
そう思うことにした。
「しかし、ここらへんは今は混んでるだろ?」
「穴場があるんだ。」
ヴェルはこういうのを見つけてくるのが得意だった。
落ち着いた人で優しく気が利く優男感がありながら頼れるお兄さんなのだ。
βの時からもてもてだった。
そして、β時代からの俺のコンビ。
今日の稼ぎは期待できる。