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ラストライフ・オンライン  作者: 蜜柑
攻略への足がかり
63/99

死合いの原則

「ルールはどうするんだ?」


 この世界には好都合にも決闘が行えるデュエルシステムがある。


 街中でのみ使用できる機能だ。

 街の外ならルール無用でいつでもダメージを与えられるが・・・。


 そのシステムには選択肢がいくつかある。

 最もわかりやすいのは死ぬまで戦うデスマッチ。

 デスゲームになった今、さすがにだれもやったことはないだろう。


 最初にどんな一撃でもいいから当てた方が勝ちのファーストタッチ。

 軽くて早い攻撃ばかり行うために実戦とはまったく別のスポーツという感じで俺はあんまり好きじゃない。


 最後に残るのが相手のHPを先に二割ちょっとにした方が勝ちのスリークォーター。

 このルール辺りが妥当だろう。


「私が選んじゃっていいの?」

 一個一個アクションが大きいな。

 シエラの顔にはいいの?と書いてある。


「ルールで言い訳されても困るからな。」

「あら。優しい。じゃデスマッチね。」

 もっとも無いと思っていたものを選んできた。


「本気か?」

「ユグドラのボスを相手にする気ならね。死を目の前にして戦えるかが重要なの。ただゲームが上手いだけじゃ役立たずなのよね。死のない試合じゃそれは見れないわけ。おわかり?」

 言いたいことはわかるし意味もわかる。

 目の前の死に足がすくんだこともあるし、仲間が死にかけたときに奇跡をあてにするしかなかったこともある。

 

「死ぬまでっていうのも困るから、一割になったほうが負けってことにしておくけど。スリークォーターと違って死ぬこともありえちゃうから気をつけてね。」

「わかった。殺しても恨みっこなしだぜ。」

 舐められると不利だ。

 こっちも殺すかもしれないというプレッシャーをかけておくことが敵の攻め手を鈍らせるだろう。

 勝負はもう始まっている。


「場所はそっちで決めていいよ。」

 あの長い刀で場所を選ぶ気がないのか。

 狭いところを選べば振ることも難しいだろ。


「酒場前の道路でいいな?」

「あら。いいの?」

 再びいいの?顔


「場所で言い訳されても困る。」

「あは。やっぱり面白いね。君。」

 俺はそれに対してなにも返さず、先に外へでた。


「かなた。どうなったの?」

 心配して近くまできていたのか外にでるとイオが待っていた。

「ちょっとデュエルすることになった。」

 その言葉を聞いた途端に心配そうな顔になっている。

「デュエル。戦うやつよね。一対一?」

「あぁ、大丈夫だ。」


「あら~?彼女?残念。」

 シエラがあとから出てきた。

 刀は鞘に入れたまま腰にさげ、地と平行にしている。


「この人が相手?」

「そうだ。」

「シエラって言うの。よろしくね。お嬢さん。」

 握手を求めてくるシエラにイオは戸惑いながらも応えた。


「でも、彼女にデスマッチだって言わなくていいの?」

 なんでいうかな・・・。

 心配かけたくなかったのによ。


「一割きったらそこで終わりだろ。デスマッチじゃねぇよ。」

 安心できるように補足する。


「かなた!やめて!」

 予想通りの展開になった。

 しかし、勝って優位の条件をつけることは、姉さんのためには必須条件だ。

 普通に入ってしまっては行動まで制限されて、姉さんはずっとこの連中と行動しないといけなくなる。

 それはきっと姉さんの苦悩を強くするものだ。

 だからこそ、ボス戦のみの協力関係という条件が絶対なのだ。


「やめるわけにはいかないんだ。頼むよイオ。姉さんのために必要なことなんだ。」

 こういえば俺が譲らないことはわかるだろう。

 いくらイオが好きになってもシスコンは変わらないのだから。


「…。じゃあ3割きったら降参して。」

「あぁ。わかった。約束だ。」

 勝利条件は厳しくなったが、これでイオが納得できるなら仕方ない。


「そんな条件つきで勝てると思ってるのかしら。」

「彼女の要望なんでな。」


「お暑いこと。私に負けたら私の彼氏になってね。」

 さすがに予想外の返事。


「かなた!私がやるわ!」

 やるって殺るってほうか・・・?

「きゃ~。怖い。お姉さん怖いのムリ~。」


 これ以上長引くとどうなるかわからないが、良くない方にいくのはわかっている。

 早く始めよう。

「やるぞ!」

デュエル:デスマッチ申請

「はいはい。あんまり早く逝ったらお姉さんがっかりしちゃうわよ。」

デュエル:デスマッチ許可


 すらっと抜き放つ刀。

 長刀と呼ぶにふさわしい長さ。

 そして薄く軽い。


 その刀を下段に構える。


「早く構えなさいよ。それとも無手?」

「そういうことだ。」

 まあ、俺がナックル系クラスではないことは素人の構えじゃばればれだろうが。

 一瞬でけりをつけるためにも武器を見せるのは攻撃を叩きこむ瞬間だ。


「いくよ。」

 

 直撃すれば一撃で全てのHPが弾けるかもしれない長刀。

 なるほど。

 確かに、死を感じさせるその刀は重力さえもあやつっているかのように俺を地におしつけている。





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