女子が集まると
俺達は今回の目標を達成したことで一度街に戻ることにした。
ただ、姉さんだけはミーミルに戻るという話に嫌そうな顔をしていた。
帰りつくまでには、その理由を知ることができるだろうか。
ーーー。
ユグドラシル20層から10層を目指し進む。
来るときにはかなり苦戦した骸骨どもも帰りには楽々と倒すことができた。
なんといっても姉さんの加入がきいている。
氷のゴーレムは何匹もの骸骨に攻撃されながらもその硬さで倒されることがない。
その間に一匹ずつ俺達が集中して攻撃すれば安全に効率よく撃破できた。
敵をしっかりと全滅させた後に姉さんに話をしてみた。
「姉さんのクラスってなんなんだ?」
「私?アイスサマナー。」
求めないとそれ以上しゃべらない。
「どういう仕組みなの?」
「触媒を元に氷で再現する。」
姉さんは説明とかシンプルに終わらせてしまうタイプなのだ。
なんというかなんでも自分でさっさと決めてしまう。
その判断が間違ってないから頼りにされてしまうのだけど。
家族とか気の許せる人としか長々と話すことはない。
知らない相手に対してはすぐにプロテクトがかかる。
そして、怒るともう手のつけようがない。
相手が謝るまで攻撃する。
あらゆる方法で。
謝ったら、その後はいじめになるだけだ。
まあ、そんな姉さんだからあんまり人のいないところで話さないと本心を聞くことは難しい。
かといって、今や俺はイオのものなのでなかなか姉さんと2人っきりになるのもイオにもうしわけない。
俺だって、好かれてることにあぐらをかいて捨てられる様な展開にならないように今は努力しているのだ。
しかし、そのせいでなかなか姉さんが今まで何をしてきていたのか聞くことができないでいる。
そこで俺は下層への階段を降りる途中でイオに許可をとるための話をすることにした。
「なあ、イオ。」
「なに?」
「2人だけで話したいことがあるんだが。」
「うん。後ろで興味深々な顔で見てるルリをなんとかできたらね。」
見事にじーっと見ている。
口元にやにやしているぞ。
「イオさん。おめでとうございます!」
そして、先制攻撃をしかけられた時点で俺の目論見は終了した。
「なんのことかしら?」
イオの白々しいウソ。
わかりきっているくせに。
そもそも焦ってる顔でまるわかりだ。
「ついに結ばれたとか!」
いつものルリの目ではない。
ギラギラしたハンティングする獣の目だ。
まあ、俺はこういうのも好きだから見ておこう。
イオが照れたりする顔は本当に可愛い。
「ルリ。ミーミル帰ったら約束してたあのお店でお茶しようか。」
不自然な話の変え方。
「そうですね!そして、かなたさんについて、ストロベリートークといきましょう!」
直球キター!
「私も聞きたい。」
いつも執事の後ろに隠れてるリンカが口を出してきた。
珍しい。
「どこまでいったのか知りたい。」
リンカからも直球キター!
俺は吹きだすしかなかった。
イオはもう真っ赤に染まってうつむいたまま何もしゃべらない。
「かなたも大人になってしまったのね。ほろり。」
姉さんまでからんでくる。
これもまた珍しい。
それともルリやリンカに気を許したのか。
少女2人組だからそうかもしれない。
姉さんは姉の鏡だからな。
年下には優しい。
「えと、キスはしたのですか?」
ルリが早くも猛攻をしかける。
「えっ・・・した・・・。」
「答えんのかよ!」
ツッコミをいれてしまった。
だって、赤面してうつむいてたじゃねぇかよ!
「あらあらまあまあ。」
姉さん・・・。
こっちみてにやにやすんな!
俺は姉さんへの気持ちのせいでなかなか踏み出せなかったんだぞ!
「それ以上のことは?」
「えっ・・・」
さすがに答えないだろ。
と思ってイオを見た。
「そんな潤んだ瞳でみてくるんじゃねぇ!」
ぐっときすぎてる俺。
しかし、姉さんの前でチャレンジャーになれるほど俺は豪気じゃない。
なので、俺は前を行くヴェルとレオに合流した。
また戦闘が待っている。
しっかりと準備をしなければ。