LL Girls Side ファランとユウ 中編
物事に簡単に正解や不正解をつけることは私は間違っていると思う。
しかし、私たちの出会いは私にとって正解だったと思った。
私たちはそれぞれに寂しい不完全を補いあった。
私の孤独、ユウの孤立。
私はユウと一緒にいることで。
ユウは私と生きることで。
私は自然と「ユウ」と呼びかける様になったし、ユウは誰かのために死にたいと言わなくなった。
「ねぇ。ファラン。」
「どうかしたの?」
「なんでそんなに大きいの。」
「ユウはなんで小さいの。」
カルムには貸し切りの少し大きな浴場がある。
お風呂とは日々の疲れや汚れを落とす私にとっての心落ち着く場所。
1人になれるから好きだったお風呂。
でも今は2人でいるから落ち着ける。
女性に肌を見られるのも嫌だった私なのに。
「言ってくれるじゃない!」
お風呂で泳ぐ小学生をさっきまでやっていたユウがこちらに向かって泳いでくる。
凄い速さでくるから衝突しそうで目を瞑ってしまった。
ふにゃん
「大きい・・・。」
「何してんのよ!」
急いで振り返る。
が、後ろにはりついたユウは見事に私の後ろから離れない。
「揉むのやめなさいよ!」
「ぷるんぷるんだよー。」
セクハラおやじになっている。
「ちょっと!ぁっ。」
「ファラン~。声が色っぽいよ~。」
「あなたのせいでしょ!」
その後五分も揉まれ続け私は疲れきってしまった。
隣で満足した顔のユウもゆっくりとしている。
「ねぇ。ファラン。」
「なによ。」
「綺麗だよ。」
何言ってるのこの人。
「なんで地味な格好してるかはわかってるつもり。」
きっと間違いなくわかっているでしょうね。
私のことはほとんど全て。
「でも、もったいないよ。最近笑う顔が凄く生き生きしている。」
そうなのかな。
そうなのだろう。
「少しくらい冒険してみようよ。まずはおしゃれから。」
「・・・。ひとに見られるのは・・・。」
「それじゃ私のために。」
その一言がこんなに心に染み込むと思わなかった。
結局、私はユウの買い物に付き合うことになった。
胸元や脚の部分が大胆で断ろうと思ったけど。
そう思って見たユウの顔があまりに嬉しそうで何も言えなかった。
「凄く似合うよ。」
「そう・・・。」
鏡を見るとどっかのまちにいっぱいいるバイトなメイドがいる。
頬が少し赤い。
こんな姿では人に凄く見られてしまう。
でも、ユウが見てくれるならいい事にする。
「ところでファラン。」
「なに?もっと露出度高くないとダメなの?」
さすがにこれ以上は色々と見えてしまうのだけど・・・。
「それもだけど家を買わない?」
「家?」
「そう。2人の家。」
それはとても素敵なことだと思えた。
それから2人でお金を必死で稼いだ。
ユウは人助けにお金を取るようになり生への執着も見せてくれるようになった。
「生きてファランに会いたいからね。」
と言ってくれたときはすごく嬉しかった。
私も販売などのアルバイトをした。
今の格好になってから売れ行きが大幅に増えた。
使える武器は使うべきっというユウの言葉を思い出して少しだけ不自然に笑みをこぼしてしまう。
そうして私たちは家を買うことができた。
カルムのなかでも端の方で多少は不便かもしれないが2人の家だ。
個室もたくさんあるけど、私たちは共有した。
同じ寝室の同じベッドに寝て、同じテーブルで朝食をとる。
それでも私は確認したかった。
自分の気持ちとユウの気持ちを。