世界の広さを蛇で知る
レバリング鍾乳洞・・・。
青白い光でてらされた鍾乳洞は幻想的な風景をみせてくれる。
しかしどこも同じような風景で、分かれ道も多く迷ってしまうのも仕方のない所だ。
まぁ、俺が迷うわけはないんだけどな。
「かなた・・・。ここさっきも来た・・・。」
「そんなはずないだろ。」
「かなた・・・。ここさっきも来た・・・。」
「そんなはず・・・ないだろ。」
「かなた・・・。これ見て。さっき置いていった目印。」
「ん。薬莢か。俺以外にも大きめの銃使うやついるんだな。対物ライフルもあるらしいけどさ。」
「ごめん。道に迷った。」
「わかってるわよ。」
4日目もすぎようとしている中、出口がまったく見つからない。
「こういう時にヴェルがいたらな。」
「呼んだー?」
飛んでくる赤い物体。
イオへ一直線だ。
「いくらヴェルでも俺の彼女に手だしはさせないぞ!」
冗談を言いつつ受け止めてやる。
しかし、受け止めようとする俺に蹴りを入れようとするとはどういうことだ・・・。
まあ狙い通りイオが赤面しているので満足だ。
しかし、前から思ってた疑問なんだが、男ってこんな軽いのもいるのか。
羽のようにふわっと地面に降り立つ男を見て思った。
「で、どうしたんだ?HP半分減ってるぞ。」
「ちょっと困ってるお姉さんを助けたら代わりに狙われちゃってさ。」
なんだいつものことか。
すぐ安請け合いするからな。
命かけてまでやるところは尊敬するけどな。
「お代は貰ったのか?」
「そんな女性からお金取るなんてできないよ。」
「それで、その敵はどうなったのよ。」
「今そこ。」
目の前に巨大な白い蛇が現れる。
巨大という言葉で十分な大きさを想像してもらえるか心配なぐらい大きい。
「ヨルムンガルドって言うらしいよ。」
「名前なんていいだろ。勝てるのか?」
チロチロと出る舌があまりに大きくて気持ち悪い。
「無理じゃないかなぁ。」
「どうする。」
「逃げるよ。蛇の身体の向こうにミーミルの入り口があるんだ。」
出口近くまでは来ていたらしい。
俺の感覚もあながち間違ってるもんじゃないな。
と言っても向こうなど見えない大きさだ。
どうしたものか。
タイミングをはかりかねていると蛇から先にしかけてきた。
大きな口をあけて丸呑みにしようとしてくる。
狙われているのはイオ。
盾でガードとかそういう問題じゃない大きさだ。
クイックドロー!
敵に使ったのは初めてだ。
まずは火弾を二発打ち込み炎弾に強化する。
さらにクイックドロー!
風弾を二発打ち込み嵐弾へ強化。
炎は風を受けて蛇の口の中で激しく燃えた。
蛇は怯むがダメージを受けた様子はない。
「イオ抜けるぞ!」
のたうちまわる蛇の身体を避けながらミーミルを目指す。
ヴェルについてはまったく心配がないが、イオが気になる。
という予想通り、イオが蛇の下を抜けようとした時、それを狙い打つように身体が落ちてくる。
「イオ!」
華奢な身体をステップで前に押してやった。
代わりに俺が蛇の身体に包囲されることになったわけだが。
「かなた!」
蛇の身体の上からワイヤーが飛んできた。
それを掴み、蛇の身体を蹴って駆け上がる。
見た目よりも実際は圧倒的に大きかった。
いつかこいつを倒せるのだろうか。
やってみたい気もするな。
いつかこの戦いが終わったらもっとこの世界を遊んでみたい・・・。
ユグドラシルを潰して終わりじゃこの世界はきっともったいないほどに面白いものをまだ持っているはずだから。
そして、俺たちは魔術学園ミーミルについた。
「助けて貰っておいて言いにくいんだけどさ。かなたが死んだら私も死ぬんだから気をつけてよね。」
「なんの話!?」
ミーミルで2時間のヴェルの説教を受けることになる。