湾曲した旅立ち
俺はイオとミーミルを目指すことにした。
灰色が多いカルムの風景は今まで俺の気持ちを暗くするだけだった。
だが、今は暖かい光を反射してオレンジに染まるそれが明日への出発点という気持ちになる。
ミーミルは近いところではない。
ユグドラシルに近いだけあって危険なところでもある。
途中で俺の幼馴染が自殺することになったら恥ずかしくて、あの世でも顔を合わせることができない。
あの世でも現実でもあわせる顔がない俺はこの後どこにいけば顔を合わせられるか誰か教えて欲しい。
いくらでも払うから教えてくれ!
と話がそれてしまったが、準備が必要だ。
っともう少しそれさせて欲しい。
俺ってやつはなんで女にひっぱられないと動けない根性無しなんだろうな・・・。
まじで恥ずかしいよ。
今日まで散々あたりちらしちまったしよ・・・。
さて戻ろう。
今回は、前回の旅の失敗をいかして食料を多めに買った。
俺のせいで今回の旅じゃ鍛冶師もいないから、自分で武器の管理もしないといけない。
アロンダイトは管理しなくていいからいいよな…。
ああいうのって俺みたいなめんどくさがりに必要なんじゃないか。
ルリ・・・。
しかし、剣よりも銃の方が管理が大変だ。
今日まで武器も見たくなくて鞄にぽいといれたままだからな。
撃てるかもあやしいもんだ。
回復薬を持って実験してみよう・・・。
それ以前に弾丸買わないとな・・・。
魔弾に魔法を入れてもらわないといけないしな・・・。
リル・・・。
道もしっかり調べとかないとな。
計画性皆無の俺には旅の予定をたてるのもきついぜ。
ヴェル・・・。
仲間って大事だな・・・。
またあいつらに会えるだろうか。
そういえば、防具もそろそろ新調したいな。
裁縫師の知り合いいたらな・・・。
仲間って大事だな・・・。
打算的な意味で・・・。
まぁそんなこと言ってても始まらない。
イオがとても嬉しそうに買い物についてきてくれるのだ。
それだけで十分だろ。
さてと、いろいろ買ったが足りないものもある気がする。
こう言うときにヴェルにきけばすぐにわかるのだが。
俺たち2人じゃ思いつきそうにない。
なんとかなるっていうかなんとかするぐらいの気合でいこう。
ーーー。
次の日。
出発当日。
「やっぱりなんとかなりましたか。」
「えぇ。ほんとになんとかね。」
「面目ない。」
ファランが送りに来てくれた。
「私も行ってあげたいのですが、あの家を離れるわけにはいきませんから。」
「そうだな。」
「でも、応援してますよ。」
久しぶりに心からの笑顔をみせてくれた。
見とれていたら殴られた。
盾で。
「じゃあ、いってらっしゃい。この世界を頼みますね。」
「この世界なんてムリだよ。俺はこいつのために行くようなもんだからな。」
イオが顔を真っ赤にしていて可愛い。
そして、俺の曲がった性格は治らない。