聖騎士の守護
戦車の形をしていたデウス・エクス・マキナが立ち上がった。
しいて言うなら人型。
膝の関節が人間とは逆を向いている。
その脚はキャタピラーだった部分だが、高さにして3m近くある。
胴体は四角く頭部と言える部分はない。
胴体の左右にはバルカン砲の様なものが、肩にはそう、ミサ・・・
予想通り大量のミサイルが放たれた。
イオのもとに集まっている俺達を囲む様に襲ってくる。
「もう!承認するわよ!早くクラスチェンジしなさい!」
イオの叫び声が聞こえる。
そして白い光に包まれる。
そして、光が収束し…。
再び現れた騎士は防具に白い刺繍、光の加護を灯していた。
ナイト系クラスで光の魔法が使える、防御に関してはトップクラスの「聖騎士」だ。
「聖なる守護!」
右手を開き目の前の空間に向けてそっとその手を伸ばす。
そこを基点に半球状の光の壁を作り上げた。
その壁にミサイルが激突して爆発する。
中に守られている俺たちは無傷だ。
「あーあ、なっちゃったか。」
「えぇ。なったわよ。これしか私には無いからね。」
的になる危ないクラスだからやめろっていうのにさ。
「あっこれ。リルさんからお届けです。」
思い出したようにファランから赤い手榴弾?と黒い箱を渡された。
「危ない時に使う様にっと。」
信用できないが受け取っておこう。
「かなた。反撃するよ。」
「おう!」
しかし、第一形態と同じ様に攻撃を弾きほとんどダメージが通らない。
胴体の部分すら矢を弾いている。
「ファラン!」
「やってます。」
胴体に向けて投げられる硫酸ボトル。
しかし、折っていた膝が伸び素早いステップで回避された。
「硬いだけじゃないみたいだね。」
お返しとばかりに両腕のバルカンが唸る。
命中精度が悪く広がる弾幕が逆に数発の被弾を余儀なくする。
イオはもっともHPが低いファランを護るので精一杯だ。
「イオ!さっきのバリアはれないのか?」
「あれはMPの消費激しいのよ!」
ファランの回復薬合成でなんとか耐えている状況だ。
回復薬の素材が切れれば全滅するだけだ。
危ない状況・・・
つまり、赤い手榴弾の出番だ。
「使いたくなかったけどな!」
ピンを抜いて思いっきり胴に向けて投げつけた。
かーんと弾かれて…
終わり?
転がる赤い手榴弾のようなものが虚しい。
「発明王!」
叫びながらサイドステップでバルカンの弾を回避する。
「硬い敵には打撃属性の攻撃、ナックルやメイスが有効だよ。イオさんのシールドストライクも有効だけど。」
ヴェルの適切なアドバイスが飛ぶが…。
「イオはファランのフォローで前に行けないぞ。」
というのもあるし危険なことはしてほしくなかった。
再びミサイルポッドが開き大量のミサイルが放たれる。
「早くみんな私の後ろに!」
再び光の壁が作られる。
「かなたさん。黒い箱の出番では?」
ファランはそう言うけど、リルの今までのMr.ミステイクっぷりを知らないからそう言えるのだ。
っというかさっきの見ただろ…。
投げた俺のばかっぽいこと…
「開けてみましょう。」