都合のいい聞き間違い
「ごめん。姉さん・・・。」
「馬鹿いうんじゃないわよ!」
盾を構えて俺と敵の間に割り込む影。
そんなことする奴はイオしかいないけどな。
盾でガードしたところで熱ダメージでHPを削られていく。
「逃げてくれ!おまえだけなら助かるだろ!」
「そんなこと!できるわけないでしょ!だって私は!
さらに火力が増し前方からの音すらも聞こえなくなる。
盾を構えていたイオの身体が少しずつ沈んでいく。
「俺より先に逝くなよ!」
動かない身体と目の前で今にも弾けそうな華奢な身体。
守りたいものだったのに俺の指をするりと抜けていく命。
俺は精一杯憎んだ。
必ず殺してやるからな!井形ぁぁぁ!!!
イオの右手からこぼれ落ちるアロンダイト・・・。
だが、目の前の華奢な身体が弾け飛ぶことはなかった。
「やめろっていってるだろー!」
ヴェルが叫ぶのを始めて聞いた。
そして、火炎が横にずれた。
そこで見えたのが主砲に巻きついたワイヤーだった。
そして、それを引くヴェル。
ヴェルの限界を超えているとしか思えない光景だった。
その間に回り込んだファランが麻痺回復薬を作り俺は麻痺から回復する。
「イオの回復を頼む!」
そして、俺は疾走する。
イオのアロンダイトを拾い装甲の隙間にそれを叩き込む。
爆発芸術!
内側からの爆発が装甲で反響しさらにダメージを与える。
絶対に折れないアロンダイトだからこそできる連携だ。
敵のHPがはじけとんだ。
しかし、その戦果を見る間も惜しんでイオのもとに走る。
「ファランどうだ!?」
イオが盾の影に隠れている。
「回復はしました。」
「こっち来ないで!」
盾の向こうから聞こえる声。
「どうした!?」
「どうしたもこうしたも!」
「何かあるのか?」
「何かってあんたね!」
「俺か!?」
「…あれ…聞いてなかった?」
「何が?」
盾の影からやっと顔だけをそっとだした。
「そう・・・。何も言わないで。」
よくわからないが大丈夫ならいい。
「それよりかなた何なのよ!」
どうやら顔が真っ赤にみえたのは怒ってるかららしい。
「しゃべっちゃだめなんじゃないのか?」
「なんでごめん姉さんなのよ!シスコン!氷花さんがそんなに好き!?」
「それはその・・・。っていうかなんで姉さん知ってるんだ?」
「あっ!あーあー!聞き間違いじゃない?」
明らかにとぼけた顔をするイオ。
「おまえ・・・。よく見たら・・・
「まって!まだおわってないみたいだよ!」
再び電撃の弾ける音がしだす。
「デウス・エクス・マキナ第二形態起動。」