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ラストライフ・オンライン  作者: 蜜柑
LLにダイブインしたあなたへ
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サービス開始当日

今日、8月10日はLLのサービス開始日だ・・・。

 そんな日だっていうのに、学校に呼び出されている。

 なぜなら、俺、月影彼方つきかげかなたは高校3年生で進路相談を受けなければならないからだ。

 β版からのダイバーとしての知識を活かして、スタートダッシュを決めて、LL最強を目指そうと思ってたのに・・・。

 でも、両親が死んでからずっと2人で生きてきた姉さん、月影氷花つきかげひょうかは、大学の夏休みを活かして準備万端で、昨日なんか4時間もLLのレクチャーをさせられた。いつも支えられてばかりだった姉さんをサポートできて嬉しかったのは秘密だけど。


 そんなこんなで家を出なければいけない時間になった。

「姉さん行ってくるよ。」

 と言うと、最近ショートカットお試し中の姉さんは玄関まで来て

「いってらっしゃ~い。遅くならないように帰ってくるのよー。」と送ってくれる。

 いつもの姉さんを知ってる人には信じられないある意味危険な格好だが、それがいつもと変わらない日常だった。


 近くの駅に向けて歩きながらサボりたい気持ちが膨らんでくる。

 でも、今日ダイブインできるだけでも奇跡なのだ。


 当選発表の日に、俺は当然の様にLL初回版のハズレの通知をいただいた。

 わざわざ占ってもらい、画数的に良いと言われた祖父の住所で応募したっていうのにあの占い師めっ・・・。

 そんなわけでβ版で仲良くなったダイバーにチャットでそれを伝えた。

 確かこんな感じだった。


ーーー。


「ははー。やっぱり落ちちゃったよ。」

「えっ!?なんで!?」

「なんでって応募数やばかったし、仕方ないんじゃないかな。」

「そっそうだね・・・。」

ーーー。

 沈黙が痛い。そいつは当然の様に当選したらしい。

「あのさ。一個余ってるんだけど使う?」

 !?

「余ったってどういう!?いるよ!いるいる!欲しいです!ご主人様!でもいいのか?」

「ご主人様って・・・これか?これが欲しいのか?・・・言わせんな!恥ずかしい。すぐ送るから、住所教えて。」


 そして、サービス開始前日、つまり昨日届いた。お礼はゲーム内でしっかりさせて貰おう。

 

 そういうことなので、学校にはしっかり行こう。


ーーー。


 職員室の前の廊下にはまばらに学生がいた。

 進路相談も佳境らしい。

 俺の前のやつの相談も白熱してる様だ。


 そして、そいつが出てきたのは予定の20分後だった。

 廊下に出てくるなりこっちに気づいたちょっとだけ人より背の高いポニーテールが似合っているそいつ、幼馴染の環状葵かんじょうあおいが声をかけてきた。

「かなたぁ~。進路相談終わったらうち来てよね」

「ばかいうなよ。今日は敬愛する井形尋仁いがたひろひとの最終作をやるって決めてるんだ。」

「絶対来なさい!5分で済むから。」

「はい。行かせていただきます。」

 俺とコイツはこういう関係だ。昔からこうなのだから仕方ない。

 面倒見のいい優しい奴だけど口が多少悪い。


「如月君。入りなさい。」

「じゃあ家で待ってるからね。」

「はいはい。」


---。

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