機械仕掛けの神
デルカ荒野、地面に大きく開いた地割れ。
落ちれば死ぬだろうと思っていた。
そんな先にファランはボスが待っているという。
「一方的にやられたから敵の技でわかるものは火炎を撒き散らす攻撃とスタン効果のある弾だけよ。」
「大きな機械なんだよな?」
再確認しておく。
できることはできるだけやらなければいけない。
そういうゲームを俺たちはやっている。
「そうよ。この溝に落ちたら斜面になっててボスの前に落とされるの。」
「じゃあ落ちる順番も大事だな。」
「僕が行こう!」
「後ろ見たら殴るわよ。」
「イオさんはお先にどうぞ。僕はファランさんの前で。」
イオにヴェルが蹴り落とされた。
「おい!イオ!冗談になってないぞ!」
とりあえず俺も飛び込む。
「しまった!癖でやっちゃった!」
イオが続く。
「あら。気が早いのですね。」
「おい!」
「なんですか?」
「かなたに渡すつもりだったんだけど、こうなったらおまえにこれを託すぜ。」
そうしてリルからファランに渡されたものは赤い箱と黒い箱だった。
「危険な時は黒、もっと危険な時は赤を使え。」
黒い箱は手榴弾のような見た目。赤い箱は立方体。
ミステリアス。
「こんな危なそうなもの使えないです。」
「じゃあ、かなたに渡してくれ。」
「承りました。」
「生きて帰ってこいよ。」
リルが手を振る。
「あなたも生きて街まで戻るんですよ。」
ファランも遅れて飛び込んだ。
ーーー。
「あっぁぁあああーーーーー。」
前方から叫び声が聞こえる。
頭から落ちてたからな。
俺はというと…。。
尻が半分に割れそうだ。
滑ってる間はましだが、まれに瓦礫でとびあがり飛んでしまう。
とんだ後に待っているのは着地だ…。
俺の尻の骨がくだけてないか心配だ。
そして、ぽーんっと何もない空間へ飛び出した。
どてっと尻から地面に落下。
隣でヴェルが首から落下している。
見なかったことにして後ろを振り返った。
危なそうなら2人を受け止めてやらないとな。
そして…。
お腹に盾がめり込んでいた。
「あら?危ないじゃない。」
盾の上に乗って滑ってきたらしい。
器用なやつだな。
体育の成績5とかだっただろこいつ。
「ファラン遅いな。」
「かなた。待ってる余裕はないみたいだよ。」
ヴェルの声から緊張が伝わる。
バチッ!
電撃の弾ける音がした。
「エネミー確認。デウス・エクス・マキナ起動。」
なにもないと思っていた空間の角でこいつは敵が来るのを待っていたらしい。
赤い光が部屋中に灯る。
動き出した敵は茶色の戦車だった。
今まで獣人系とか生きている奴を相手にしたが、機械の敵ははじめてだ。
行動が読みにくいだけに油断はできない。
「排除開始。」
敵の主砲が俺たちの方へ向けられる。
「全員散れ!」