目的を前にして
ファランの家に戻ると既に全員集まっていた。
なかなか贅沢なテーブルを囲む様に皆座っている。
ファランの隣だけあいている。
俺の席なんだろうな。
そして、そこに座り話をきりだした。
「明日、デルカ荒野のエリアボスをやる。場所は・・・。」
…ボスがどこにいるか知らない…。
「ファラン。ボスの場所1万で売らないか?」
「やだ。」
「二万!」
「やだ。」
こっちを見てもくれない・・・。
「そっちの言い値でいいからさ!」
「言い値で・・・ってなんでもあり?」
目が輝いている。交渉チャンス到来だ。
「おう!なんでもいいぞ!リルなんかどうだ?可愛いぞ。」
「おい!俺を勝手にうるな!俺がいなくなったら困るのお前だぜ!?」
だいぶ慌てているリル。
まだ思春期レベルが低いようだな。
ヴェルだったら喜ぶぜ。
「なんでも聞いてくれるのね?」
少し冷や汗が・・・。
何をいうつもりだ。
「ああ・・・。可能な範囲で頼む。」
「簡単なこと。私も連れていくこと。」
・・・。
「危ないって知ってるんだろ?」
「えぇ、2人で三分ももたなかったです。」
「死ぬ覚悟があるのか?」
「ある!」
「それじゃつれていけない。俺も1人じゃ死ぬだけだ。だからファランがいてくれれば助かる。けど死なれたら俺の責任だ。ファランが死ぬことは俺を殺すことだ。それを理解してくれるなら行こう。」
「・・・くさいこと言うね。」
「うるさい!」
俺が赤面するのは当然として、なんでファランまで顔が赤くなってるんだ?
「わかった。死なない為に行きましょう。」
「やっと終わったのね。」
イオがじっと座って待っていた椅子から立ち上がり言った。
「っていうか場所教えてもらう立場のくせに上から目線ね。」
「交渉術だ。イオ。お前も残らないか?」
「またそれ?まあでも1つ聞きたいわね。」
やれやれという態度だが、残って欲しいていう気持ちは本気なんだけどな。
「なんだ?」
「なんでボスにこだわるわけ?確かにクラスレベルが一気にあがるけど、死のリスクは回避した方がいいんじゃないの?」
「ん。言ってなかったか。」
そう言えばヴェル以外に目的を言ってなかったな。
「俺は石碑に名前を刻みたいんだ。」
「あのエリアに入ったら名前がでるやつ?黒騎士の時にあった。」
「そうだ。そして、姉「有名人になりたいんだよね!」
何故かヴェルが邪魔してくる。
「違「わなーい。」
・・・。
「姉「デルランドー。」
「オランダですか?」
「そうだよ。ルリちゃんは賢いね。」
ルリが照れている。
リルはさっぱりという顔だ。
双子なのに頭の中身には差があるらしい。
「まあ俺たちみたいな経験者は結局のところものを言ってくる判断力で有利だしな。上位の敵を倒せるし、それのおかげで少ない戦闘でランクをあげられる。ユグドラシル攻略にも貢献できるランクになるだろうな。」
そういう理由にしてみた。
ヴェルがにこにこしている。
凄く嬉しそうだ・・・。
「それにさ。弱めの敵をいっぱい倒すのも、みんなやってるから敵が全滅してると思うよ。」
「そうね・・・。」
イオもそれでとりあえず納得したらしい。
「ほら!ファランの仇をとってやりたいだろ?イオはそういうやつだぜ。」
「お兄ちゃん。それじゃファランさんが死んだみたいですよ。」
「そうね。ファランがどうしてもやるっていうなら手伝うわ。」
どうやらイオもやる気らしい。
いなくてはならない存在だが、1番危ないポジションだからな・・・
ヴェルに関しては…
無言で微笑んでいる。
こういうやつだからな。
「今回のボスは盾のポジションイオ。DD俺。支援ヴェル。回復ファランで頼む。」
「じゃあ回復系の素材を買ってこよっと。」
ということで話は終わったわけだが、1人だけ納得していない顔の奴がいる。
「おい!俺も連れていけ!」
「リルはルリと家のこと頼む。強盗がくるかもしれないからな。おまえしか頼れるやつがいないんだ。」
「まあ確かに俺にしかできねぇな!ここは任せて安心して行ってこい!」