科学都市の光
科学都市カルムはまさに科学が支える街だ。
「すごいわねぇ…。」
「近未来って感じだな。」
都市の広さは東京ドームで…何個分だ?
正直、東京ドームで例えられてもわかんないんだが…。
まぁ、なかなか広い。
歩いて横断しようとすると半日はかかる。
そんな広大な都市なわけだが移動に困ることはない。
移動用のリニアが行きたいところへすぐに送ってくれるわけだ。
こいつがなかなかの無音で、電気自動車の音がでなくて事故するから音つけましたみたいな話を思い出させる。
移動の話はこんなとこでいいか。
街の作りもこっている。
中央にそびえる巨大なビルがここカルムの代名詞イルミナティ・プロローグだ。
このビルの放つ光が、カルムへの案内をする例の光だ。
そして、その周りには高層ビルがたちならぶ。
さらにさらに離れ、カルムの端の方にくるとベッドタウンが広がり一軒家が増えてくるわけだ。
だから、ベッドタウンにあるメイドことファランの家は家としては安いほうかもしれないが、このゲームの中で家を買うというのはなかなかの努力を要するだろう。
なかなか金にうるさいようだったのはそういうことだろうか。
「上の空ね…」
「あぁ。ファランのこと考えててな。」
「そう…。やっぱりかなたも胸の大きい人が好きなんだね。」
「ん?ん~。それはおいといて、あの家どうやって買ったのか疑問だな。」
「おいておくんだ…。」
イオが珍しく下を見て沈んでいる。
正直そんなに小さくないだろと思うがまあいいだろう。
「こつこつお金溜めてるんじゃないの。私も色々請求されたし。」
「こつこつねぇ…。」
「クラス錬金術師らしいし儲かるんじゃない?」
錬金術師なのか。
さらに疑問が深まるな。
錬金術といえば金食いクラスで有名だ。
そして、勘違いされがちだが錬金術師は戦闘クラスだ。
リルの発明家の使い方には驚かされたが、基本的に錬金術のクラスがあんな戦い方をする。
なぜなら、発明家は作成に時間がかかるのに対して、錬金術はすぐ完成させることができる。
ただし、すぐに壊れてしまうので作ったらすぐ使うしかないという宿命を背負っている。
つまり、金があればあるほど強くなるクラスだ。
クラスランクよりどれだけ高い材料を投資して戦うかだからな。
「今度、金の稼ぎ方きいてみるかな。」
「そうすればいいじゃない。私、先帰るね。」
「ちょっとまて。まだ行きたいところがあるんだが一緒にいかないか?」
「えっ?」
「イルミナティ・プロローグにさ。」
ーーー。
そんなわけでやってきましたイルミナ塔。
ここには名物の透明エレベーターがあるのだ。
このエレベーター、上にも何もついてない。
原理がまったくわからない。
過ぎた科学は魔法と一緒ってやつだな。
そして、俺は井形尋仁が言ってたことを思い出す。
魔法も科学である。
正直に言えばちゃんと意味がわかってる自信がないのだが、原理と結果があれば科学なのだから魔法だって同じなのじゃないかってことかな。
そうだとすれば科学を愛したあの人の気持ちがわかるかもしれない。
名前がでたついでに言っておこう。
俺はあの人の気持ちが知りたいと思っている。
なんでこんなことをしたのか、彼のような全ての人に憧れられてきた人がなぜこのようになってしまったのか。
ゲームをクリアする前に、俺はその答えにたどり着きたいとも思っている。
彼を尊敬していた俺は答えが知りたい。
ただ、このゲームを壊すことが正しいことだとは思わないから。
「また考えことしてるの?」
「あぁ。すまん。乗るか。」
そして、夜の空へ俺たちは上がって言った。
「キャー!ギャーー!いやぁー!」
必死でスカートを押さえているイオとこのロマンチックな風景を楽しむのも悪くない。
光り輝く夜空。
遠くに砂漠や荒野が見える。
綺麗だ。
そんな時間もすぐ終わってしまった。
後半はイオに殴られ続けていた。
「イオ…マジックミラーだから下大丈夫…。」
「早く言いなさいよ!」
そして、死にかけている俺をおいてイオは帰っていった。
ダメージなくても痛いものは痛いのだ。