救いもまた金なり
「お?気がつきましたか?」
「ん、ココは・・・?」
「お代を払ってください。」
・・・。
気を失った人がよくやるあのシーンを再現したかったのに無粋なやつだ。
起きた目の前にメイド服のヒューマの女性がいるのだから夢があるといえば夢があるのだが。
「お代?」
「皆さんを助けるのに馬車代と食事代がかかりまして。それにサービス料を加え、五万リルになります。」
「高っ!?」
計算機を叩いてるがどういう風な計算をしているんだ。
「先に起きたみなさんがあなたが払うと。」
「ちっこい男の子が払います。元凶なので。」
「リルさんですね。お金の単位と同じ名前なんて素敵です。でも、もう出かけてしまいました。」
不思議な会話のおかげか意識がはっきりしてきた。
どうやらカルムに着いたらしい。
魔力やオイルではない明るさが部屋を照らす街はここくらいだからな。
そして、その光が照らす茶色の髪をおっかけると…胸のあたりまで目をやることができる。
決して胸を見てるわけではなく、髪を見ているのだ。おっきいな。
「それであなたは?」
「名前ですか?スリーサイズですか?名前はファラン。スリーサイズは有料です。」
「いくら?」
アンダーリムのメガネを左手中指で調整している姿が…ぐっとくる。
計算機を叩く前にするくせがあるのだろうか。
それにしても、計算機で何を計算しているのかはさっぱりだ。
そして、計算が終わったのか計算機を見せながら
「1000リルです。」
「現実的だな。」
「代わりに僕が払うよ。」
ヴェルが部屋に飛び込んできた。
開け放った扉の向こうでイオが冷ややかな目で見つめてきている。
「そして、僕とお茶しませんか?」
「有料です。」
「いくらでも。」
「それでは行きましょう。時は金なりです。」
「エスコートさせていただきます。」
そういって2人は出て行く。
「そうそう。この家は私のものなのでどうぞご自由にお過ごしくださいね。あと5万リルの準備もお願いします。」
出て行く時の笑顔はどうみても宿代を請求するという魂胆が溢れていた。
そして代わりにリルが帰ってきた。
「おい!この都市やべぇぜ!見ろよ!」
おもむろにアイテムを実体化するリル。
科学都市にかなり興奮しているようすだ。
そして、横に3mはゆうにある黒い物体が出現。
「なんだと思う!?」
「どうみても宇宙戦艦大和だろ。」
波動砲は健在だ。
「残念!ブラック・バートだ!いや!名付けて爆撃機!科学都市と俺の合作だ!」
確かに背中にさげてた銃がない。
「口径をさらに巨大化すると同時にその反動を殺す後方への噴射装置をつけた!さらに!両サイドにスラスターを付け飛行可能になっている!ただし、5秒で燃料切れするが、まあ些細な問題だ!」
宇宙の果てまでリルをぶっ飛ばしたあと分解させた。
さて、外に行きたそうにこっちを見てるイオを連れて少し街を歩くか。