旅は道連れ
トスカーレ南出口。
科学都市カルムを目指すためには、アスガル草原を南に抜け、クラックアワー砂漠を越える、そしてデルカ荒野にたどりつかなければならない。
βテストでもいったが、魔法よりも科学が進んだ未来的な都市だ。
「3日分の食料もかったし、そろそろいくかー。」
「そうだねー。ルリちゃんまたね。」
「はい。また来てください。」
ルリは出口の門から大きく手を降っていた。
街の外が怖くて、それ以上でようとはしないのだ。
それから30歩ほど進んだあたりで俺はあることに気づいた。
鞄がやけに重い…。
すぐに取り出せるようにサポート用の剣ぐらいしか物質化してないはずだが・・・。
「イオ。ちょっと鞄あけてみてくれないか?」
あぶないことは人任せだ。
「ん。何かあるの?」
そして出てきたのは・・・。
「おい。俺も連れていけ。」
リルだった。
何故か俺の鞄に入り込んでいたらしい。
つーか、はまってる。
首上だけなんとか鞄から出てる状態だ。
「危ないからやめておきなさいよ。あんたみたいな駄目兄貴でも死んだら泣いちゃうわよ。」
「そうだね。ルリちゃん守ってあげてよ。」
ヴェルもルリが心配らしい。
しかし、リルが譲る気がないのはわかりきっている。
「俺は発明したものに責任をとるタイプの発明王だ!誤作動した時に俺が必要だろ?」
「まぁな・・・。」
誤作動で死んだら必要ないけど・・・。
それでもイオの説得は続く。
「死んじゃうかもしれないんだよ?」
「俺は自分の見ぐらい守れる発明家だ。」
「ルリはどうするの。」
「うっ・・・。」
多少は兄としての責任感があるらしい。
そこに、どうや遠くから俺の鞄の内の兄を見つけたルリがとてとてと走ってきた。
だいぶ青ざめている。
「ルリ!外が怖いのに無理して来なくてもいいよ。馬鹿兄はちゃんと帰らすから。」
「あの!私もついて行きます!」
「ルリまで!?危ないのよ?」
・・・。
「それでも、3日間も帰れないんじゃ武器の管理とか大変です!」
「確かに助かるけど・・・。」
「イオさんがいれば私も安心です!ヴェルさんもいますし。」
で、結局俺にどうすんのよっという視線が送られる。
俺は頼りになる人数には入ってないようなんだがと軽くふてくされたい気分だ。
「いてもらった方が心強いしな。ヴェルの鞄に入ってるといい。」
「はい!」
まじで入ろうとするからこの兄妹は困る。
こうしてやっと俺たちは出発した。
これから3日間かけてカルムに渡るわけだが、寂しい思いはしなくてすみそうだ。
そんなことを俺は考えていたわけだが。
この時の俺の甘さを二日後の俺が責任をもたされるとは、この時の俺は気づいてなかったんだろうな。