LL Girls Side 黒騎士編
ルリに頼まれたゴブリン族の鉄鎧を探しに私はランスロットの森に来ていた。
デスゲームが始まってルリとリルの双子に会い、私がここでやるべき事があることを知った。
だから、必死でクラスレベルをあげてきた。
それでもこの森は私にも十分な危険を潜めている。
それがわかってても警戒に集中できないのは、さっきルリに聞いた噂のせいだ。
ーーー。
「イオさん。知ってますか?」
鍛冶の作業の手をとめることなくルリが話しかけてきた。
「なにを?」
「チェイサーって呼ばれる人がいるんですって。」
「ストーカーの上位クラス?」
「いえ。このゲームがダイブアウトできなくなってからダイブインしてきた人らしいです。」
「それってリビングデッドじゃないの?」
「リビングデッドとかいう人と違って、人を探しに来たらしいです。」
「へぇー。いい根性してるわね。馬鹿っぽいけど。」
素直な感想。ロマンチストすぎるんじゃないかしら。
ここではほんとに死ぬっていうのに何を考えてるのかしら。
「かっこ良いじゃないですか。憧れます。えっと確かかなたとかいう割と童顔の方だとか。」
・・・。
「かなた!?」
「?どうかしたんですか?」
ルリがちょっと驚いている。声が裏返って恥ずかしいな・・・。
「ん・・・人違いよね・・・でもかなたで童顔って・・・。」
そこで兄の方のリルが口をだしてきた。
「そいつ見たな。」
「どこで!?」
また裏返っちゃった。怪しまれてないわよね?
「バザーで俺が商人に売ったマジックカード買ってた。弓のイケメンと一緒にいたせいか影薄かったな。確か二刀流だったかな。」
「なんでその時いなかったのよ私!」
「あの・・・彼氏さんですか?」
「ちっ ちがーう!」
準備もそこそこで狩りに行くことにした。
赤面してるのがばれたら恥ずかしいし。
ーーー。
そういうわけでそいつが気になって仕方ない。
そのせいか何度かゴブリンに襲われた。
目的がゴブリン探しだったからいいんだけどね。
それでたくさんゴブリンがいる方に向かってたら森が黒い霧に覆われてて、どう考えたって危険域だと思ったよ。
だから離れようとしたら、恐ろしい咆哮が聞こえる上に、明らかに戦ってる音がするじゃない。
もう気づいたら霧の中に飛び込んでた。
いつものことだけどね。
霧を抜け出ると、なんか見覚えがあるやつがすっごく悪そうな騎士にとどめを刺されそうになってた。
走ってきて息苦しくて混乱もしてて、でもそいつを護りたくて、だってきっとあいつだから。
「そこもっと頭低くして!」
ーーー。
なんとか黒騎士をやっつけられた。
ほんとに死ぬと思ったわ。
でも、あいつがすっごく心配してくれて凄く嬉しかった。
それに、「大事な人で俺の命の価値は精一杯なんだよ。」って・・・。
バカにも聞かれて恥ずかしかったけど大事な人って私のことよね・・・。
恥ずかしいから私が葵って今は言えないけど、この最悪のゲームを終わらすまでずっと一緒にいようと思うの。