見えてきた進む道
さらにヴェルに追加攻撃を叩きこもうとするイオをなだめるのに20分の時間を要した。
ヴェルの残りのHPを吹き飛ばしかねない勢いだった。
正直に言えば、さっきの黒騎士より怖かったです。
「さて!戦利品分配しようぜ!」
テンションあげあげで誤魔化す。
「いえーい。」
ここも自分で言った。
「かなた。戦利品に回復アイテム無い?鼻がすごく痛い。あとモノクルにヒビが入っちゃって代わりがほしい。」
「あってもあんたになんかやらないわ!」
目ぼしい戦利品の効果を読んでみよう。
アロンダイト
ランスロット卿が使ったと言われる聖剣。刃こぼれすることがないと言われている。
効果:消耗なし・竜に対して追加ダメージ・潜在能力:武器破壊
ジャックのカード
黒騎士へのクラスチェンジ権を得る。
使用制限:クラスランク30以上
黒騎士の鎧
ランスロット卿が使ったと言われる鎧の一部。
火属性に対する強力な防御を付与する金属系素材
一番価値があるのはアロンダイトだろう。
潜在能力の発動条件がわからないが、消耗しないというだけでもレア度が高い。
「やっぱりこの剣はイオのものだよな?」
「僕達だけじゃ死んでたしね。」
「かなたがどうしてもっていうなら譲ってあげてもいいわよ?」
「足を舐めればいいですか?」
またイオが赤面している。
「でもなー。この剣はやっぱりイオがもった方がいいだろ。だからこのカードも貰ってくれ。」
「なんでそうなるのよ。」
「パラディン目指すのやめてほしいからさ。」
「なんでよ。そんなに下手だった?」
言わないとわからないやつらしい。
「おまえに死んでほしくないからだよ。そんなクラスやってたらいつか死ぬだろ。つーか、製造系のクラスじゃダメなのか?このデスゲームが終わるまで街にいればいいじゃないか。街にだって困ってる人たちはいっぱいいるぞ。」
「その…私も、一緒に…行きたいから。」
「えー!」
珍しくヴェルが俺より驚いている。
若干嫌そうだ…。
「喧嘩売ってるのよね!」
ヴェルが再びシールドストライクをいただいたのは言うまでもない。
「ついていくの!こんなモヤシなんかより私の方が役に立つわよ!」
「ヴェルはいいやつだぞー。そのうち、おまえの目もハート型になる運命だ。」
「何を言ってるのかなた。こういうのは女の子に数えないんだよ?」
早速手に入れたアロンダイトを握るイオ。
どうみても目が本気だ。
「ヴェルの冥福を祈ります。」
そして、2人の激闘がはじまった。
我関せず。
そして、黒騎士と戦う前と今で違うものに気がつく。
湖の中に石碑が立っている。
それをそっとなでると光を放出し、文字が刻みこまれ始めた。
ランスロットの森:エリアボス 黒騎士 討伐者 カナタ 他2名
「あっ。クリアの石碑か。確か今後このエリアに入るとその石碑の内容が例外なく伝わるんだよね。おめでとー。かなたも有名人だよ。」
「逃げんじゃないわよー!」
これだ!姉さんを見つけることは名前がわからない分困難だ。
見つけてもらう方が可能性が高いだろう。
それなら姉さんが入りそうなエリアのボスを倒せばきっと気づいてくれる。
水の街エルディラか科学都市カルム、魔術学園ミーミル。
この3つの周囲のエリアを制覇すれば確実に姉さんに気づいてもらえるはずだ。
「ヴェル!カルムに行くぞ。」
「は~い。」
死んでるかもと心配したがまだ生きてるようだ。
「とりあえず、今日はトスカーレに戻ろう。準備して明日出発だ。」
「私もついていくからね!」
「じゃ約束しろ。敵に狙われないように行動しろ。俺がこのPTの盾だ。」
「うっ うん。」
よくわからないけど赤くなりやすいやつだな。
怒ってなければいいけど・・・。