らしくないこと
立ったまま逝くランスロットが聖剣だけを遺して、砂のように風に吹かれ消えていった。
それでやっと俺は息をすることを思い出した。
「無事に終わったね。」
「どこが無事よ!死ぬと思ったわ!」
「ごめんね。巻き込んじゃって。」
「しかし、なんで飛び込んできたんだ?」
「礼儀がなってないわね。死にかけてる人を見捨てられるわけないでしょ。」
困ってたら助ける。
常識のようでなかなかできない。
ましてや助けるために命をかけないといけないこの状況でもそんな非常識を恥ずかしげもなく言いきる彼女を俺は・・・。
「危ういな。おまえ向いてないぜ。ナイトのクラス。」
よく見れば俺とそう年齢の変わらないであろう少女だ。
重装ではないが、魔力で加護を受けているリボンのようなものを右腕と右脚に巻いている。
さらに華奢な腕に合わないカイトシールド。
マジックディフェンサーあたりのスキルをつけたナイトだろう。
そして、白を基調とした防具。明らかに上位クラスパラディンを意識している。
しいていうなら、ミニスカートがヒラヒラと風になびいてもう少しだ。
「あんたの優しさはわかるけど、目の前にいる全てを護ろうとすれば、すぐに死ぬぜ。」
こんな忠告なんて俺らしくないと思う。
ただ、こういうヤツには死んでほしくないと思った。
「言ってくれるわね。名前は?」
「言う必要を感じない。」
何故かこいつのために怒ってる気がする。
そういうやつじゃないだろ・・・俺。
「かなた君です。で、僕がベルヴェルク。」
「おい!?」
「かなた。失礼だよ?」
「やっぱりね。二刀流なんてクラス使うやつは後追いぐらいしかいないのよ。あんただって人を助けにきたんでしょ。」
・・・。
「大事な人で俺の命の価値は精一杯なんだよ。」
「なっ!?」
何故かイオが赤面している。
「大事な・・・人って・・・幼な
さらに顔を染めながらイオが何かを確認しようとゆっくりしゃべっている。
「かなたは罪つくりだなぁー。」
ヴェルが吹き飛んでいた。
「黙ってなさいよ!」
イオのシールドストライクは危険だ・・・。