勝つための反撃
走りこむ勢いをそのままに連撃を黒騎士の脇に叩き込む。
「ナイトさん!僕のPTに入って。支援するから。」
「イオよ!イオ・ガーランド!」
「自己紹介はこいつを撃破した後でな!」
連続攻撃を叩きこむが黒騎士の鎧が硬く有効なダメージを与えられない。
「おまえの相手は俺だ!」
しかし、黒騎士はイオに対して猛攻を続けるばかりでまったく俺を見ていない。
イオはひたすら盾ではじくばかりで防戦一方だ。
いつ斬られてもおかしくない。
そして、重装タイプではないイオは直撃すれば一撃で瀕死になるだろう。
「グィ・・・ネヴィア!」
黒騎士が強力な一撃を振り下ろす。
イオはその盾で受けるが、衝撃に硬直させられた。
そして、斬りあげの連携に盾を打ち上げられる。
後ずさりするイオに横薙ぎの剣撃を狙う黒騎士。
イオは剣で受ける構えをとった。
「イオ!剣撃を剣でガードするな!特殊効果武器破壊がついてるぞ!」
かといって剣で受ける以外の選択肢はイオに残されていない。
「うおぉー!」
知覚加速!
複合スキルパリィ!
狙うは黒騎士の左手!
黒騎士の懐に飛び込み、迫ってくるその手を両手の武器で受け、上に向けて弾き飛ばした。
態勢の崩れた黒騎士の胸に全力の蹴りを叩き込む。
後ずさる黒騎士に矢の雨が降り、態勢回復までの時間延長を起こす。
その間に黒騎士から距離をとった。
「イオ!雷撃系のアビリティーはあるか?」
「私の得意属性よ!」
「よし!ヴェル!ワイヤーワーク使えるか!」
「あと一回ぐらいなら使えるよ。」
「わかった。俺の指示にあわせてくれ。」
「俺が突っ込んで時間を稼ぐ!準備でき次第、最強の雷撃系を最大チャージでぶっ飛ばしてくれ!」
「巻き込まれないでよね!」
再び地を蹴って黒騎士の殺傷範囲に飛び込む。
黒騎士の胸に向けて連続攻撃を仕掛ける。
それでも黒騎士はひるむことなく進む。
「虫けらが!」
黒騎士は大きく剣を横に振りぬいてくる。
知覚加速!
横なぎをかがんでさける。
頭の上を抜ける剣は恐怖を引き起こす。
だが、それに恐れることなくカウンターのフロントステップで加速したタックルをあてる。
やっと黒騎士を後ずさりさせた。
このチャンスを逃せば次はない。
恐怖に締め付けられる胸で大きく息を吸い・・・
停める!
連撃を叩きこむ。
もっと早く!もっと重く!
黒騎士の硬直が延長し続け、体勢を回復できない。
「あと少しでたまるわ!」
「ヴェル!縛れ!」
「ワイヤーワーク!レストリクション!」
ヴェルの右手から5本のワイヤーが放たれ、それぞれが黒騎士の四肢に絡まった。
その間に、3枚の水属性のマジックカードを黒騎士の頭上になげる。
「あたれー!」
バックステップで離脱しながらハンターナイフをカードに向けて放つ。
投擲用に作られたそのナイフは全てのマジックカードを斬りさき大量の水を発生させた。
「準備完了!」
剣が帯電し光を放っている。
「いくわよ!ライトニング・セイバー!」
剣を振り抜くと、その先を雷撃が走った。
そして、水に濡れ、回避もできない黒騎士に直撃する。
鎧の中まで染みた水が雷撃を増幅し、ランスロットを焼いた。
HPが無くなり、HPバーが吹き飛ぶ。
しかし、倒れることはない。
騎士の意地を見せるように、立ったまま血に染まったような瞳が光を失っていった。