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ラストライフ・オンライン  作者: 蜜柑
悩みながら進む
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危険と隣り合わせて

「あきらかに危ない雰囲気だけどどうする?逃げる?」

 

 昨日の俺ならさっさと逃げることを選んだだろう。

「何が起きるか見てから逃げてもいいんじゃないか?」


 湖から流れる黒い霧の勢いが増してきている。

「気をつけてね。」


 湖の奥に目を凝らしていると、黒い霧の中から突如一台の荷車が飛び出てきた。

 そして、そのままの勢いで俺とヴェルを飛び越え着地した。

「どうなってるんだ。荷車のくせに飛びすぎだろ。」

「荷車?・・・もしかすると。」


 どうやら荷車が黒い霧の発生地点らしく溢れてくる。

 そして、まさにぬらりっという雰囲気で黒い鎧の騎士が現れた。

 兜の隙間から血に染まったような瞳がぎらついている。

 明らかな敵意。こいつも襲ってくるタイプの敵だ。


「ゴースト系か!」

「まさか・・・荷車のランスロ。サー・ランスロット・・・」

「よくわからんが強そうだな。」

「この森のボスといっても過言じゃないね。逃げる?」

「でも湖とで挟まれてるからな。それに騎士に背中を見せるのもね。」

「騎士道精神語っちゃうタイプじゃないでしょ。彼の剣に答えて1人でやる?」

「2人で挟み撃ちだ!」


 俺が右前へ走り出すとヴェルは左前へ走り出した。

 長い付き合いのコンビネーションはばっちりだ。


「グィ・・・ネヴィア・・・」

「何か言ってるみたいだよ?」

「話せばわかる・・・問答無用!俺式(おれしき)爆連撃(ばくれんげき)!」

 空中に浮かした火のマジックカードを紅蓮撃ぐれんげきで斬り裂き、炎の塊を叩きつける。

 恥ずかしい命名で赤面した顔も炎の光で隠れる。

 極大魔法とまではいかなくても中級魔法レベルの火炎属性ダメージを与えたはずだ。


 フロントステップから派生スキルで覚えたバックステップを使い爆煙から離脱する。

「生きる全てのものが憎らしい!我の怨嗟を!我のアロンダイトを!その身で受けよ!」

 そんな声が聞こえた頃には煙から飛び出してきた黒騎士が俺の眼前にいた。

 低い体勢から肩からの突進か!剣での斬り上げか!

知覚加速(コンセントレーション)

 それでも余裕を持って受け流せる程度の剣撃ではない。

 短いバックステップで斬り上げをさける。

 上段にあがった剣をさらに振り下ろしてくる。

 知覚加速のスキルレベルの上昇による効果時間の延長はこの一撃までゆっくりとした時間の経過をもたせてくれる。

 しかし、ここで反撃しないと次の連携は避けられない。


 垂直落下の剣撃に対して左手のダガーを斜めに構え受け流しを狙う。

 だがアロンダイトはサーペンダガーの刃を綺麗に切り落としそのまま左の肩に迫る。

 知覚加速コンセントレーションの効果はきれ打つ手無しだ。


 しかし、アロンダイトが刃の次に喰い破ったのは革製の腕甲わんこうと土だった。

 黒騎士の右腕にはワイヤーがからまっている。


「かなた!」

「おう!」

 黒騎士の左足に蹴りを入れ体勢を崩す。

 しかし、左足が浮き右足だけで立つ黒騎士はその体勢からヴェルに繋がる右腕のワイヤーを力任せに引いた。

 それに引かれヴェルは飛ばされ木に打ち付けられた。

 その衝撃で失神スタンの状態異常になり魔力のワイヤーが切れる。


「まずは貴様らの息の根をとめる!」

 再び低い姿勢の突撃をかけてきた。

知覚加速コンセントレーション

 剣への対応に集中する。

 

 それが失策だった。

 低い姿勢のままの肩からの突進を受け吹き飛ばされる。


 5mはゆうに吹き飛ばされ、受け身が取れるわけもなく背中から落下した。

 そして、体勢も整えられないままの俺の前に黒騎士は上段に剣を構えた。


「はかなく散る命こそ我が魂の救済。死ね!」

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