昼間の激闘 交渉術編
2日目の朝が来た。
夢を見ていた気がする。
それが昨日本当にあったことだと認識できたのは机に置いてあった傷だらけのダガーを見たからだろう。
手に握ってみると昨日よりも軽くなっている気がした。
STRのステータスが上がっただけではなく、馴染んできているという感じだ。
身体は先に今を受け入れてるのだろうか。
「ここは身体も心の一部だからね。心が受け入れてるんじゃないかな。」
「エスパーか!」
「残念ですが口から出ていましたよ。」
朝食を持ってヴェルが入ってきていた。
「NDCが扉の前で困ってたよ。起きてこないから。女の子を困らせちゃ駄目だよ?」
NDCのくせに不器用な芸達者だな。と心の中でそいつにつっこんでおいた。
「それにしてもだいぶ消耗してるね。そのダガー。」
「初期装備だしな。」
「新しいの買いに行こうか。そろそろ寝ずに鍛治を頑張っている人達が特殊効果ついた武器作ってるんじゃないかな。」
「そうだな。バザーに行くか。」
ーーー。
ご飯を食べてからトスカーレのバザーに来た頃には昼過ぎになっていた。
なかなかの混みようだ。
「どんなのがいいの?騎士剣二刀流?刀?ダガー?」
「刀は無しかな。サムライ系のクラスはやる気無いから。」
「じゃ攻撃の剣か防御の短剣だね。この世界じゃ防御かな。」
遠回しな優しさがわかる。
根性無しなおまえには防御がお似合いだ!と代わりに自分で言っておいた。
使えそうなダガーを探してバザーを見てまわっていると面白いものを見つけた。
一枚のカードから火がでている。
カードが燃えているわけではない。
カードの真ん中から火炎系の魔術が吹き出ている感じだ。
「マジックカードいかがですかー。」
バザーではダイバーがお店を運営している。
交渉で根切りも可能というわけだ。
「あのカードが気になるの?」
「面白そうだよな。」
「料理でもするの?」
「それもありだが、戦闘でも使えるんじゃないか?」
「投げつけて発動するものじゃないからなかなか難しいかもね。とりあえず買ってみたら?」
「そうだな。てんちょー!」
「はいはい何でしょう?」
「そのカードって属性何種類あるの?」
「火と水の初期魔術がセットされてますよ。」
「魔法が封じられる使い捨てカードってことか?」
「えぇ、そのようです。私もカードを買い取ってソーサラーに魔術を込めて貰って売っておりますので。おっと、但し初級魔術しか入れられないみたいですね。中級魔法をいれたら破けてしまいました。大損です。」
「いくら?」
「一枚80リルです。」
「高い!」
「元手がかかっておりますからね。」
「50リル!」
「そこのかた!マジックカードいかがですか?」
「全部買うから!」
「かなた!?」ヴェル驚愕!
「・・・。火と水10枚ずつ全部で1200でどうでしょう?」
「1100だ!ダガーが買えなくなったら元もこもない。」
「仕方ないですね・・・。」
こうしてマジックカードを20枚手に入れた。
ダガーは50リルで鍛治師に修理してもらった。
さてと、再びランスロットの森に行くとしよう。