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ハヤタは腹筋を七十回した後、小休止を取っていた。
いらつくことがあった日には身体を鍛えることにしている。
でないとベッドの中でいらいらして、いつまでも眠れなくなるからだ。
適度に運動すると疲れてよく眠れる。
「ちっくしょう、オードめ……ぜってーわざとやってただろ、面白がりやがって」
思い出すのは昼食時のこと。
休みの日は何をしてるのかとか、結局貯めた金は何に使ったのかとか、朝は何時起きなのかとか色々リッコに聞いたのだが、その度にオードが割って入って答えてくるのだ。
お前には聞いてねえ。
そう言いたかったが、一緒に食事のテーブルを囲んでいる間柄。むげにもできず、ほうほうと話に相づちを打ってやった。
相手は魔法使いだけあって、そこそこ物珍しい面白い話も聞けたが、それにしても妨害電波出しすぎだろうとハヤタは思う。
せっかくのパリ皮ウインナー入りドリアがほとんど楽しめなかった悔しい思い出。
あと三十回は腹筋をしてからシャワーを浴びて、早いところ寝てしまおう。
ほどよく疲れてきたハヤタは額の汗を拭って上身を倒した。




