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「まだそこまでいってねえ! あいつに言うなよ、オード?」
「あきらめが悪いなハヤタ。さっさと認めたほうが楽になれると思うが」
「心の機微ってもんがあるだろうが!」
「キビ? だんごか?」
何か言い合いながらこちらに向けて歩いてくる青年二人組を、先に集合場所に来ていたリッコは不思議そうに見つめた。
一体何を言っているのだか。
ふと視線を周囲に転ずると、彼らを目で追いかけている女性たちが何人も見つかる。
頬を染めたり、真っ直ぐに射抜くような眼差しを向けたり。
どうやらあの二人に見惚れているのだろうか。
情熱的な彫りの深い顔立ちをしたハヤタと、鼻筋が高くて温かみのある風貌のオード。
背丈や体格は二人とも同じくらいで、ごく一般的だ。
二人がリッコと合流すると、自然と周辺にいた彼女たちの視線もリッコに集まってくる。
激しく突き刺さってくるそれに身をすくめて、リッコはあいさつもそこそこに二人を手招きし、その場を立ち去った。
目的地まで歩いていると、ちょうど店の開く時間になった。
クラフトショップの入口は、くぐるとAIが『いらっしゃいませ』と告げてくる。
入るとすぐの位置にカゴがセットされたカートが配置してあり、その取手を一握りするとカートが自分が歩くのに合わせて一緒についてくるようになる。
そしてそのカゴの中に商品を入れると品物がスキャンされ、レジラインを通過することで支払いが完了する仕組みだ。
「お前が握ったら支払いの権限、お前になったろリッコ? 俺が払っても良かったのに」




