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ナナカが立ち上がって棚から二つの瓶を取って戻ってくる。片方には紫色の、もう片方には黒い花びらが入っている。それを両方ともリッコの前に置いて、正面に腰かけた。
「さっきのお茶にした花、ブルーマロウっていうの。何も手を加えなくても水の色を透明な青にできるわ」
説明しながら紫色の花びらが入った瓶の蓋を開けると、自分のカップを空にしてから花びらを数枚入れてヤカンの湯を注いだ。すると言葉通り湯が青い透明な液体に変わる。そして、ソーサーに載せておいたレモンをつまむとカップの上まで移動させる。
「そして、レモンを加えると水の色が青からピンクに変わるの。ここまでが科学のお話」
「色がさっきと違う……」
「そう。さっきのは魔法がかかっていたから。知りたい? どんな魔法か」
「知りたい!!」
そうして見せてくれたのは、ホーロー引きのフライパンの上に紫色の花びらを散らして、それをどこに燃料があるのか分からない不思議な火で空炒りする工程だった。徐々に花が黒くなっていく。リッコはフライパンの中の花びらとその下の炎とを代わる代わる見つめて、はああ。と感嘆の吐息を漏らした。
「ねえねえナナカ、今の火はどうして何もないところで燃えていたの? 花が茶色く枯れずに黒くなってるけど、焦げたのとは違うよね? あとあと、えーと」
「あらあら、質問は一つずつよリッコ」