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リッコのほうはその場で軽く跳ねて喜びを全身で表現している。
護符の制作は初めてではない。久々の魔道具作りに腕が鳴るというものだ。
「やったあ。うん、がんばる。作れたらオード見てくれるでしょ」
嬉しそうにしているリッコを見て満足げだったハヤタは、その言葉でこめかみに血管を浮かべた。
それに気付いていない二人は着々と話を進める。
「最初の、作り始めのところから付き合ってもいいぞ。材料も無駄にはできないだろ」
「材料ってこの場合、アクアマリン?」
「いや、貴石まで使う必要はないな。ガラス玉に水精を入れて、循環の魔法で清らかさを保つんだ」
「ガラス玉ねえ……クラフトショップで探してこようかしら」
「青い玉が相性良いぞ。何なら一緒に」
「俺も行く」
二人の会話に割って入ったハヤタの中には、また火精がくすぶり始めていた。
それはリッコには分からなかったが、オードには一目瞭然だった。その理由もだ。
オードは一度は見開いた目を次には面白そうに細めて口元を吊り上げた。
「良いんじゃないか?」
「うん。実際に身に付けるのはハヤタだもんね。好きなビー玉選んでよ」
次の土曜日に三人で出かける約束をしてその場は解散した。




