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「それが分かれば、すぐにでも会いにいくんだけどね……オードは分かるの?」
「それは……自分で分かってほしい。リッコはどうしてあんなことしたの?」
「あんな?」
リッコは『自分がしでかしたこと』が何なのか分からず、噛み砕いたうどんを飲み込んでから顔だけでオード──というかナナカというか──のほうを向いて小首を傾げた。
「あたし、何かした?」
「それを教えるのは簡単だけど、これは聞いたらだめ。自分で考えてほしい」
「そう……分かった。もしも気が付いたら、答え合わせしてくれる?」
「もちろん。いつでも」
リッコがうどんのカレーをすべて飲み干した頃、オード(ナナカ)はサラダセットに付いていたコーヒーをこちらも飲み終えた。
午後の仕事はかたや中庭で、もう片方は資料室だ。そのために食堂で分かれて、リッコはナナカにしてしまった失敗のことをあれこれ考えながら手引き書を置いてある資料室へ向かっていった。
* * *
リッコは結局一日かけて薄い本を半分くらいまで読んだ。
キックオフの日に、呼び出した精霊が杖に入らなかった理由を知りたかったのだが、前半部分には特に記載がなかった。
後半に書いてあるのかもしれないが、明日はオードのレクチャーがある。
当日に『分からない』と言われたことを後日に蒸し返して期待に応えてくれるとも考えづらかったが、ともあれ聞いてみるつもりだ。




