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けれど、どう考えても目の前にいるのはオードだ。声質も男性のものだし。
それにナナカはケイオンの製作には反対派だとオードが言っていた。ここで魔法のレクチャーをしてくれるはずはないのだ。
食堂に着いて料理を取ると横並びに座った。
リッコはカレーうどん。オードはひき肉をトッピングしたサラダを選んでいる。オードは肉好きでナナカは野菜派だ。
左上を見上げれば彼の顔が笑っている。高い鼻筋に金色の短髪。茶色の瞳。オードよねえ。と、右下へ視線を下ろして自分に念を押した。
だがしかし、リッコの視線が顔から外れたその時、ぽん。と、青年の姿が消えて、その代わりに卵形の輪郭をしたプラチナブロンドの美女が現れた。ナナカだ。
ふぅ。と疲労を滲ませた吐息を漏らしたナナカは水を一口飲んで肩を下ろす。そこでリッコの視線が戻ってきたので、再びオードの姿に変化した。
リッコは目を真ん丸にして箸を開閉した。疲れてるのかしら。と前振りして、うどんの椀へ箸を入れる。
「今、オードのことがナナカに見えちゃった。あたし、よっぽど会いたいのかしら」
「……っ。ナナカもきっと今、リッコに会いたいと思ってるゎ……よ」
「そう? そうかなあ。そうだとうれしい。仲直りしたいもん」
隣に向けていた視線をうどんに戻して、ちるる。と、二、三本すするリッコ。オードはフォークで葉野菜を追いかけながら問いかける。
「ちなみにリッコは、どう思ってる? ナナカが怒った理由」




