3-23
一週間後。
とうとうやってきたケイオンとの出会いは、リッコの予想を反して彼女を絶望の淵に叩き落とした。
両手のひらと両膝を地面について深くうなだれる。そのそばには彼女が受け取った『試作品』が転がっていた。
場所はケイオン棟の中庭だ。屋外のほうが精霊を呼びやすいというところと、まだ威力のコントロールの仕方を知らないという理由で、暴発したら危険だから、そろそろ外は寒いのだが、こうして出てきている。
「うごかない……」
「リッコ、大丈夫?」
「だめ」
立ち直れない。
どんよりと呟くとリッコはポーズを変えないまま顔だけ上げてユーリンを見つめる。焦茶の目がうるうるしている。
「どうして? ユーリンできた?」
「だめ。できないわ」
肩をすくめて首を横に振るユーリン。彼女はかがみ込んで目線の高さをリッコと合わせると、首を傾げた。
「そんなに落ち込まなくても大丈夫よ。まだ初日じゃない。マニュアルも今月中には和訳版が到着するって話だったし、そうしたらきっと──」
「うん……」
初日じゃないのよ。
そう言いたかったが、言わなかった。
初日じゃないリッコにとってはこの問題は深刻で、彼女は何としても原因を見つけなければならないと感じていた。でなければいつまで経っても──下手をすれば他の人々が魔法を使えるようになっても、自分ひとりだけいつまでも取り残される。最悪の可能性を想像してリッコは身震いした。




