表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/113

3-19

 ふんふんふふん。と鼻歌交じりに棟内へ入って、テストスペースへ直行することはせずに開発部門の人々が集まっている区画へ立ち寄る。

 まだ杖の試作品は出来ていないと聞いている。それが仕上がるまでテスターたちは座学しかすることがないのだ。現状を確認しておくのも有意義なことだろう。


 開発部門のスペースは大きな机を四つずつ二列に並べてあり、それが通路の手前と奥にもあった。よく見ると机二つごとに椅子が一つ置いてあり、どうも一人当たり二つの机が割り当てられているようだった。そんなに広いスペースをあてがう必要があるんだろうかと、リッコが呆然としていると、後ろからうれしそうな声が聞こえた。


「お? リッコじゃねぇか。ようこそ開発部門へ! 何の用だ?」

「あ、ハヤタ。ううん、用事らしい用事は……ごめんね無いんだけど。ケイオンの試作品、どのくらい出来たのかなーって思って」

「ああ、テスト部門には待たせてて悪い。そりゃ気にもなるよな。見てけ見てけ」


 ハヤタはそう言うと奥から二番目の席にリッコを誘って、空いている椅子を持ってきた。

 自動では動かない折りたためるパイプ椅子。えらく昔風だが、ケイオン棟にやって来てからリッコも同じものを使っている。

 それに礼を言って腰かけるとハヤタがロッカーを開けて、中から杖を持ってきた。ずいぶん長い。立てたらハヤタの身長よりも高い。頭の部分の方が太めで石突の方へ向けて細くなっていくそれは全面的にでこぼこしていたが、素材が木製ならば本来の形を活かした結果のようにも見えて、リッコの目には杖として完成しているように映った。


「それ、まだ完成してないの?」

「してるように見えるか?」


 うなずくリッコと対照的に、ハヤタは首を横に振った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
開発部門の様子が描写から伝わってきました。ケイオンの杖、意外と大きいのですね。木製の感じが、魔法使いの杖のイメージですね。 まだ試作中とのことで、完成が待ち遠しいです。テスト部門は、今は開発待ちなの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ