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『向く向かないで言ったら、貴方、向いてはないわよオード。魔力の総量が少なめですもの。まだリッコの方が多いくらいだわ』
弟子入りしてすぐくらいの時にナナカから刺された釘は今もオードの心に残っている。まともに否定されて半泣きになっていた彼へのフォローか、ナナカは慌てて言い添えたのだ。
『いえ、それでももちろん、一般の人に比べれば多いわよ? 全然望み薄だったら弟子に取ってないわ』
『それでもリッコより少ないんですか』
『あの子の魔力の開通は十歳の頃よ? 貴方もう十六でしょう』
生き物はみな魔力を貯める壺のようなものを命の中に持っている。魔法を使うとその壺から魔力が外へ出るための路のようなものが刻み込まれる。それを『魔力が開通する』と表しているのだ。その開通が早ければ早いほど命に貯め込める魔力の量は多くなると考えられており、反対に開通が二十歳を超えると初歩的な魔法しか使えない程度の量しか魔力を保持できなくなるとされている。そのため、魔法使いが弟子を取るのも十九までとするのが一般的だ。
『待ってください。彼女はどうして開通したんですか』
『あら……それは私がサポートしたからよ』
『弟子でもない人間相手にどうして開通のサポートなんかしたんですか!』
『う。だって憧れているのが可愛くて、使わせてあげたかったんだもの、魔法……』




