2-20
運命の月曜日。
アラームを切って寝ていたのだが、結局いつもと同じ時間に起きてしまったリッコは、闇の精霊を召喚しようとして、また何の手応えもない朝を迎えた。昨日のことがあったからちょっと期待していたのだが、やはり気のせいだったのかと考えてしまう。たっぷりためらってから、あきらめ悪くもう一度だけ。
「……。……、……。揺らげ、落とせ、闇の精霊よ──汝の憩うは我が胸の前」
リッコは自分の乏しい胸元を注視していたが、闇どころか影も落ちない。
やはりダメかとうなだれて二秒。
それだけだ。
そこからは気持ちを切り替えて朝食の準備をする。いつまでも腐ってはいない。
昨日焼かずに丸呑みした卵も今日はいつも通りスクランブルエッグにした。
それらをゆっくり食べる間にスマホから流れてくる星占いの声によると、今日のリッコの運勢は十二星座中最高の運気だそうだ。
何かいいことあるのかなと、こりずに期待しつつ食器を片付けて思い出したのは、一昨日のジェスタの言葉だ。
もうお金至上主義の仕事はしないけれど、良い仕事が回ってくると良い。
目をつむって、うん。と背伸びをしてから彼女は身支度を整え家を出た。
* * *
「おはようジェスタ。仕事の話ですって? もう残業はそんなにこだわらないから、なんか面白そうなのが良いわ。そういうのある?」
「その前に、この書類を読んでくれるか。もしサインしてもらえるなら、仕事の内容を話そう」




