表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/112

2-13

 ジェスタが持ってきたプチあんぱんを給茶機の緑茶と共に楽しんで、グループが一緒にならなかったアンリや他のテストメンバーと話に花を咲かせる。話題は仕事のことが八割、後の二割が休日に行なう趣味の話。リッコの表向きの趣味は『読書』ということにしてある。魔法が出てくる話なら何でも読むというところまでは誰にでも言える。実際にしていることは、魔法の勉強なのだけど。


「本も悪くないが、俺は映画鑑賞だな。魔法てんこ盛りのファンタジーもよく観るぜ?」

「映画かあ。それも良いよね。あたしも有名どころは観たわよ」

「よしよし、長くなりそうな話は一旦、区切ってもらうぞ」


 ジェスタが割って入ってこの先の予定を確認する。彼の持っているリーダー用の端末はメンバー用のテスト実施アプリの他にも、グループ内のメンバーの進捗を確認できる管理アプリも入っている。皆、残りは所要時間一時間ほどなので、テストが終わり次第、帰宅して良いとのこと。

 休日出勤は稼ぎ時なので、リッコは最後のテストが終わって片付けが終了するまで残らせてほしいとジェスタに頼んだ。


「何を買うのか知らないが、本当に頑張るなリッコ。あまり根を詰めるなよ」

「ええ。明日は丸一日ゆっくり休むし、大丈夫よ」

「何か買うのか」

「そう。そのために稼いでいるの。でも何を買うかはヒミツよ? ふふ」

「秘密か。ただでさえ気になっていたのに余計に気になるな」

「よしよし、追求は仕事が終わってからにしてくれよ」


 結局、残りのテストの間中、ハヤタにあれこれ詮索されたリッコだった。「友だちやめるわよ」と言ってようやく質問攻めは落ち着いたのだが、意外な気もしていた。

 てっきり「友だちになったわけじゃないから問題ない、教えろ」と言われるかと思っていたのだ。

 自分と違う部門にも友だちができたのはうれしいことなので、それ以上の追求を逃れたのと合わせてより一層喜びを覚えるリッコであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  製品評価というマイナーな仕事を題材にしているところがおもしろいです。  製造業では評価大事です。  そこに「魔法」を追加したらどうなるのか。楽しみに読んでいきたいと思います。 [気になる…
[良い点] ジェスタとリッコとハヤタ。仕事から、友情のようなものまでできてきましたね。 何を買うか言えないリッコ。たしかに、そうですよね。「友だちやめるわよ」と言ってからの心情がきめ細かに描かれてい…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ