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ベッドの上に座って両手を上げ、ん〜。と伸びをする。また腹が鳴った。
寝間着のままキッチンへ向かいトースターにパンをセットしてから洗面所へと移動する。
顔を冷たい水で洗うとすっきり目が覚めて、髪をブラシでとかしてからひとつに結えるところまでしてパンが焼けた。
たまには気分を変えてと今日はオリーブオイルをパンの表面にスプレーした。
それから卵を炒る。スクランブルエッグは自動調理器でもできるが好みの半熟状態にならないのでほぼ毎朝自分で作っている。
そうしていつものミルクたっぷりコーヒーを作って椅子に座った。
スマホをテレビモードにしてホルダーに置くと、ちょうど旅番組で旅行者が食事をしているシーンだった。
プチトマトを口に入れてもぐもぐとやっていると、視聴者プレゼントのお知らせが映る。
スマホを操作して手早く応募を完了させた。今朝も長い時間をかけて朝食を食べ終えると、食器を食洗機にセットして片付け終了。
洗濯機は元々、洗濯からアイロンがけまで行なうモードにセットしてある。
設定を変えずに着替えた服を入れてスタートボタンを押すとリビングに行き、ふかふかのソファに座ったところで着信があった。
通知はジェスタからのものだ。
お。と漏らした声は期待感の現れ。
すぐに通話に出ると案の定、休日出勤のお誘いだった。
二つ返事で了承して立ち上がったリッコは平日のかっちりしたスーツ姿でなく私服のままで家を出た。
メリハリをつけるため休日出勤の日にはいつも楽な格好をしていく。
鞄だけは同じもので、中に入れているカードのおかげで駅の改札も会社の通用門もスルーできる。
居室の入口までたどり着くと、ちょうどジェスタが鍵を開けているところだった。




