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 ナナカと約束してから数ヶ月後のこと。リッコはいつも通り魔法使い宅に遊びにきた。すると、いつもは開いている玄関のドアがその日だけは閉まっていたのだ。留守かと思いドアの中の四角くくり抜かれた窓から家の中を覗くと、見知らぬ紳士が口元にたくわえたヒゲをつまみながらナナカと語り合っていた。談笑という表現がしっくりくる雰囲気が漂っている。が、ナナカの横顔は目が笑っていないようにも見えた。紳士が布袋を丸テーブルの上に置き、袋の口を解くと中からは大量の金貨が現れた。彼女はまだ作り途中だったはずの杖と薄手の本とを差し出して、代わりにそれらの金貨を受け取っていた。


(ナナカ……。その杖、あたしにくれるんじゃなかったの……?)


 にじむ視界の中で商談を終えた二人が立ち上がる。紳士は握手を求めて手を差し出したが、ナナカは同じタイミングで深々とお辞儀をしたので紳士の手は目的を果たさずに、ばつが悪そうにおろされた。

 その後、二人がそろって玄関に向かって歩いてきたのでリッコは慌てて玄関そばの壁にへばり付いた。ドアが開くと中からは光があふれる。しばらくきらめいていた光がなくなると、ナナカが中から小さい白い壺を手に現れて、その壺から白い粒状の粉をひとつまみその辺りに撒いた。彼女がリッコに気付いたのはその後のことだ。


「──あら? リッコじゃない。どうしたのそんなところで。お入りなさいな」


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