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1-14

 ナナカのところに弟子入りしたら、これらの家電は封印しないといけないのだろうか。心配になっているとオードから聞かされたことが頭をよぎった。


「魔法使いはみんな『杖だけあっても魔法は使えない』と言うけど、そんなはずないと、おれは思ってるんだ。わざわざ弟子入りしなくても、手引き書はあるわけだからさ」

「手引き書って?」

「あー、マニュアルのこと」

「でもオードだって、ナナカに弟子入りしたんじゃない?」

「そりゃ、杖をもらうのには弟子入りするのが最短だからさ」


 当時、ナナカが硬い木を削って杖を作っていることは知っていた。そのためリッコは、威勢よく挙手して全力でおねだりしたのだった。


「はい! はいはい! あたしにも杖ちょうだいナナカ! あと、手引き書も一緒に!」

「あらあら、リッコったら。杖だけあっても魔法は使えないわよ? それにリッコの国の言葉で書かれた手引き書はないし……」

「いいからいいから。あたし、がんばるし。やるだけやらせて? それでやっぱりだめなら、その時は弟子入りすればいいし」

「そのほうが遠回りだと思うけど……そうね、今作っているものが、リッコが大人になる頃には完成しているだろうから、その頃にやっぱり欲しかったらね。あげましょ」

「やったぁ! 約束よ?」

「はい。や、く、そ、く」


 二人は小指を絡ませた手を上下に振ると、小さい笑い声を立てた。


 そこまで思い出したら嫌なことまで脳裏に浮かんできてしまって、リッコは野菜スープに八つ当たりした。

 思い出はナナカの杖のことだ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ここまで読ませていただきました。通用門を潜る時の「ぴ」という音、なんだか可愛いですね(「ピ」でないのが、いいですね)。 ナナカの新弟子となったオードは、弟子になる覚悟がなかなかつかないリ…
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