7-5
それと大きな柱時計が時を告げるのとがほぼ同時だった。
時刻は十四時ちょうど。
時計が鳴り終えると、テレビ会議システムからコール音が聞こえてきた。
迷わずに受話の操作をするソイ。
彼はテレビのそばに座っており、一番奥の席には最年長の長老の水人形が浮かんでいる。
長老はゆっくりと口を開いた。
「このように話し合いの場を持てたこと、うれしく思いますぞ。コーポレーションの皆さま」
『話し合いだけならこんな犯罪など起こさずとも、いくらでもお引き受け致しましたよ。協会の皆さま』
「いやいや……見ての通りソイ以外は老体ばかりでの。みな、長話ができるほど体力がありませんので。手っ取り早く我らの覚悟を示しておいてからのほうが話し合いがスムーズにいくかと思いました次第」
『では伺いましょう。我が社の従業員を拉致監禁してまで、いったいどんなご意見をお通しになりたかったのか』
「おや。ソイから聞いておられぬか」
鼻の下にたくわえた真っ白いひげをつまんで伸ばすのは長老の癖だ。
長老はテレビのそばにいるソイへ視線を向けた。
「『ケイオンの開発をやめてほしい』とお願い致しました」
『それは伺いました。なぜ今更やめてほしいのか。そこをお聞かせ願いたい。アドバイザーとして契約を依頼した際には反対意見は出なかったものと思っておりました』
「ああ。それについては我らの落ち度。申し訳ないの。賛成派の者たちが我ら最高会議にかけずに無断でお返事を差し上げてしまった次第。だが、魔法協会の総意としては──」
『開発に反対なのですか』
「いえ。今こちらでは賛成派と反対派が拮抗して結論が出ない状態です」
話に割って入って訂正したソイをじっと見る長老。
それに対してソイは頭を軽く下げることで答えた。
「はっきり申し上げよう。御社の方針──『皆に魔法を』。それはの、我ら魔法協会の立ち位置には真っ向から対立するもの。我らの間では魔法は秘匿されるべき技能とされておる。だからこそ一対一の師弟関係によってのみ伝承され、相応しくない者にはこれらの技術を与えずにきた」
『……』
「だが今、恥ずかしながら魔法協会は荒れておる。素養がないと断じられて師をもつことができずにいる見習いが増えすぎた結果、協会の運営を圧迫しておっての。ケイオンの賛成派はそこから生まれた。師匠がなくとも魔法が使える──奴らが飛びつくのも道理」
テレビに映っている中年男性が渋面でひとつ唸った。
ソイの記憶では確かジェスタと名乗っていた、ケイオンプロジェクトのリーダー的存在だ。
ジェスタは渋い顔のままで口を開いた。
『それで、あなた方は我々との契約をご破算にしたいと。そうおっしゃるわけですか。そうなりますと違約金は全額お支払いいただけるわけですね? それと、協会を通さずに直接魔法使い個人と契約する分には今回のような妨害はなさらないと』
「違約金……は、ちなみにいくらになりますかの。──ふむ。現在、見習いも含めて魔法に関わる者は必ず協会に所属しているため、個人での契約は難しかろう」




