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魔法の杖のテスター 〜それは憧れから始まったことなの。魔法使いの彼女への〜  作者: 夜朝
第7章 ようやくの再会と第三勢力の出現

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7-3

 リッコ救出隊の本拠地となった会議室には今、関係者の全員が集合していた。


 めずらしくズボン姿のナナカに、同様のズボン姿に加えてウエストポーチを身につけたオード。二人とも黒一色の服装だ。


 ハヤタは秋季迷彩の上下の内側に黒い長袖を着て、肩や肘の関節を回している。


 それを見たオードがため息まじりに首を振った。


「まさかハヤタがこんなに見た目を重要視するタイプだとは思わなかったな。これから行くのは市街地にある屋敷だぞ。その格好じゃむしろ目立ってしまって仕方ないだろ」


「何だよ先に言えよ! 二人して黒でコーディネートしやがって。黒服が良いのか?」


「良いということもないのだけれど……魔法使いの戦闘服といえば黒が好まれるのよね」


「落ち着けハヤタ。市街地なら黒ずくめでも目立つことに変わりはないだろう。私から見ればどっちもどっちだ」


 ジェスタの最後の言葉がとどめになって、救出隊三人組はそろいもそろってがっくりとうなだれた。


 一番早く立ち直ったのはナナカだ。


「ミスタージェスタ。それで、『交渉』のほうの準備は万端整ったのかしら?」


「ああ。私が交渉人として先方──ソイと話す。なるべく引き延ばすように努力するさ」


「他のみなさんは? 失礼ながら、何もすることがないならご退出願ったほうが良いのでは」


「雇われの教育係がふざけた口を聞くものじゃないよ君」


「我が社の社運をかけたプロジェクトを威力業務妨害されて黙っていられるか! 交渉は基本ジェスタに任せたが、一言二言、言ってやらねば気が済まんわ!」


「……なるほど確かに、ご退出願ったほうが良さそうだな」


 オードの発言に切れかけて見るからに気分を害した様子でこめかみを引きつらせている男性と、血気盛んに語気を強めた男性とを見比べて、金髪をオールバックにした背の高い壮年が一人冷静に呟いた。

 彼は「ここは僕に任せて」と告げると、有無を言わせぬ圧力をかもしつつ、二人の男性を会議室から追い出してしまった。


 面食らったジェスタがためらいがちに壮年に問いかける。


「良かったんですか? スズミさん」


「いいさ。どうせ彼らは今の僕らが置かれている状況なんて分かっちゃいないんだ。偉そうにがなるだけなら百害あって一利なしだからね」


「あなたは残られるの? ミスタースズミ」


「ええ。僕はこのプロジェクトの最高責任者ですからね──ジェスタでは判断できないことも、僕なら」


「責任をお取りになる覚悟がおありなら何も申し上げないわミスター。ただ、これだけは約束を。どんなことになってもリッコの身の安全だけは確保してくださると」


「それは、むしろあなた方の役目でしょう。ナナカさん。我々は全力で交渉を長引かせますよ。あなた方から無事に彼女を救出したという連絡が入るまではね」


 ナナカは右手を自身の腰に当てると背筋を伸ばした。

 残念ながら胸も腰もそんなには育たないままで成長期を逃してしまった彼女だ。

 平らに近い体型をごまかさずに胸を張り、負けじと言い返す。


「私たちも全力でリッコを助け出しますわ──もちろん無傷で」


「そう願いますよ」


 なんで言い合ってんだよー。


 ハヤタが小さく呟いたが、張り合っている二人に届くことはなかった。


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― 新着の感想 ―
ナナカとオード、黒一色は決意の表れのようで、ハヤタの秋季迷彩も印象的ですね。たしかに、目立つのは避けた方がいいですね。 プロジェクトの最高責任者…大物ですね。それに張り合うナナカも負けず嫌いで。続き…
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