6-5
「安心したまえ。私が世話役になったんだ。
もし交渉が決裂しても君を粗雑には扱わないと誓う」
「あたしはいつになったら解放してくれるの?」
「それは──いつだろうね?」
「何それぇ?」
「とにかく家の中を案内するから着いてきてくれ。
家の外には出させてやれないが、中ならどこに行ってもらっても構わない」
リッコはもう一度、何それぇ? と返して彼の後を追った。
* * *
「どうしたのオード。リッコは?」
「知らない奴に連れて行かれました。転送中のことです」
「連れて行かれたですって!? 転送中に? まさか!」
「おれだってまさかと思いますよ──くそぉ……」
ナナカの宿泊先に転移したオードは床に座り込んで大きく息をした。
ふぅっと意識を手放しそうになる彼を見て彼女は慌てて柑橘類のジュースを彼に差し出す。
オードはナナカ御用達のオレンジジュースを飲み干すと、やっぱりレモネードが良いなあ。などと言って彼女からゆっくり進む手刀をあえて避けずに食らっていた。
「人心地ついたら詳しく教えて。
転送中の空間に外から干渉してきた何者かがいたってことなのね?」
「ええ。まさかそんなことできる奴がいるとは──
しかもそいつまだ若く見えて。
せいぜい三十代後半ってとこでした」
「まさか──それ、七老人の最年少。
無風の風使い・ソイ?」




