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5-15

『そんなに稼げないの?』

「専業でまかなってる人なんて五パーセントもいないくらいよ。私だってオードが弟子になる前は他にも仕事をしていたし、それは今でも度々呼ばれて行くのよ。それで収入の内訳は半々だわ」

『…………』


 字幕はこちらへ向けて語りかけている時しか現れない。


 リッコがオードのほうを向いて何事か話しかけている。


 ナナカは風に呼びかけて、かすれていたオードの声を拾い直した。


 水鏡も風の便りも魔法としては簡単な部類に入る。


 最初から意識すれば同時に扱うことは難しくない。


 オードはまだ通話を切っていなかったようだ。


 クリアな音声がナナカの耳に届く。


「── 一年分を先払いで、おれは毎年百四十四万納めてる」


 どうやら弟子になるのにいくらかかるか知りたかったのか、淡々と答えるオードのそばで、

リッコがびくっと跳ね上がった。


 彼女にとっては予想外の額だったらしい。


 オードに詰め寄っている。


 彼はなだめて言った。


「支払う額はこっちが──弟子の側が決めるんだ」


 一対一で一日中師匠がつきっきりの高いコースを選ぶと、一年前払いで百四十四万。


 多対一で一週間に一度、一時間だけ講義を受ける学校形式のコースを選ぶと、毎月の月謝は一万。


 ただ、ナナカは今のところ前者でしか弟子を受け入れていない。


 後者の場合、どうしても何人か、魔法を開通する前にカリキュラムが終わってしまう生徒が出てしまうからだ。


 協会のスタンスとしては「教師に非はない」となるのだが、一年間かけて付き合う以上、できれば素質のない生徒にも開通させてあげたい。


 それは時間さえあれば叶わない願いではないとナナカは思っていた。


 しかし一年という時間は、試みても開通しないのは自らの素質がないのだということを知るには充分すぎる時間だ。


 いくらナナカが引き止めても自分で見限って延長しない者ばかりだった。


 否。まだ若いナナカの指導力を疑う者のほうが多かったのだ。


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― 新着の感想 ―
魔法使いは、教える側も弟子になる側も、大変なのですね。そして、魔法使いになったからといっても、楽になるわけではなくて。ナナカはそのことをリッコに伝えたいのですね。 金額を聞いて驚いたリッコがどう思う…
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