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「試させてみましたが彼女は水属性なのですぐには使えないようです。おれが中継しますか?」
「ううん、中継するとその間、オードが話せなくなるしね……ああいえ、それなら水鏡は?」
「なるほど。少しそのままでお待ちください」
ナナカはジュースが入っているグラスからストローを抜き取ると呪文を唱えた。リッコのことを友と呼んで。
するとオレンジ色の水面にリッコとオードの覗き込む顔が映った。
「どう? そっちから見えてる?」
すると水面の向こうのリッコがまた泣き出した。
その下部には映像の字幕のように途切れ途切れの言葉が右から左へ流れていく。
『見えてるわ、ナナカ。あのね、あたしずっとずっと会いたかったの。会って謝りたかったの!
だから』
「ええ、ええ。私もごめんなさいねリッコ。私もここまで仲直りしたくて来たのよ──あらあら、涙を拭いて?」
『あたしもごめんなさい。ナナカの気持ちぜんぜん考えてなかったから。これで仲直りできたら、今度はあたしのこと弟子にしてくれる?』
「あら──もちろんよリッコ。うれしいわ」
でも、リッコが本当にそれで良ければの話よ?
ナナカはそう念を押した。
リッコは不思議そうにして、どういうことか聞いてきた。
魔法使いの弟子になるということは、魔法を使うことを職業にするということだ。
魔法の存在が信じられている中央北でも仕事がなくて魔法使いは副業扱いされている。ましてや魔法がおとぎ話と同じくらい迷信とされている極東で、魔法使いを目指すなど愚の骨頂だ。
子どもの頃は憧れる者も多いそうだが、歳を重ねるにつれてその夢は形を変える。途方もない目標から現実的な空想へと。
「リッコ。あなた社会人になってから学ばなかったの? 生活していくためにはお金を稼がないといけないんだってこと」
いつしか本作も100話目に到着です!
遅々として進まないじれったい話に
ここまでお付き合いいただき本当に感謝です。
これからも精進努力がんばっていきますので
最後までどうぞよろしくお願いします!
ありがとうございます。