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謎売りの少女  作者: 1:11
消えた足跡事件
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消えた足跡事件

 次の日、朝10時に指定のファミレスに到着。しかし、まだ少女は来ていないようだった。


人を呼んどいて遅刻とはなんで言うことだ。今日は昨日のハンバーグ代まで請求してやる。


俺は怒りながらも推理小説を取り出した。こんな時代じゃなきゃ脚光を浴びていたに違いない若き作家「浜沢愛吉」。今の俺のお気に入りの作家だ。 


5分ほど遅れて少女は到着した。店内をキョロキョロして俺を見つけると、昨日同様俺の向かいの席に腰掛けた。


「ごめんねー。ちょっと時間かかっちゃって。」

俺は無言で右手の掌を彼女の前に突き出した。


「え?なに?おじさん?握手しろってキモいよ。」


「ハンバーグ代。」

「ああ、それなら昨日払ったよ。」

「は?」

「“謎“買ったじゃん。」

おいおい、嘘だろ。自分で昨日の“謎“は例題だと言ってなかったか?

呆れて言葉も出ない。

少女が今日も今日とてハンバーグ3つ注文してることも含めてだ。


「あと、ライス小とセットのドリンクバーもお願いします。おじさんは?」


「え、じゃあドリンクバーで。」


「かしこまりました。」


店員が注文を取り終えて去った後、少女は冷たい目でこちらを見ているのがわかった。


「なんだよ。」

「おじさんってドリンクバーだけ頼んで長居出来ちゃう人なんだ?最低〜。」

こいつ、全然分かってない。

「それが嫌なら店が単品のみの注文は禁止するべきだろ。店だってそういう客を必要としてるから禁止してないんだろ?今に始まった問題じゃないし、平日の午前10時なんて満席になるなんてことないしな。店員に迷惑かけるか?席でドリンクバー頼んで飲むだけで。そりゃ200杯とか飲んだら迷惑だろうけど俺別にドリンクバー頼んで元取りたいわけじゃないからな?2、3杯飲むだけよ。これのどこが最低なの?こんな理屈が分からないから“謎“も全然ダメなんだよ。」


少女は泣いてしまった。

見た目が中学生くらいにしか見えないため、罪悪感がある。


「悪かったよ。」


少女はすぐに泣き止んだ。こいつ嘘泣きか?


「おじさんって友達いないでしょ?」

うるさい。沢山の推理小説ファンが俺にはいる。“謎“ファンではなくてな。


少女は「では、早速」とA4サイズの紙をピンクのバックから取り出した。これが今日の“謎“というわけか。


「じゃあ、説明するね。昨日おじさんに言われた通り少し制限つけてみた。」

「ほう?」

「それももう“謎“に書いておいたから確認しておいて。」


前回の“謎“だと答えを複数導きだせてしまったから今回は1つしか導き出せないような制限を設けたということだ。前回よりは期待が持てそうだ。


「あれ?おじさん。なんか楽しみにしてる?」

「馬鹿言うな。するわけないだろ。もう帰ったっていいんだぞ。」


俺は席を立とうとしたところで店員さんがハンバーグを3つ運んできてくれたのでなんとも居心地が悪くなり、とりあえず席に着いた。


「おじさん、今回の“謎“は前回より難しく作ったからもし聞きたいことがあったら解く途中で言ってね。昨日みたいに終わってからグチグチ言われると泣いちゃうから。」


そう言って少女は俺にA4サイズの紙を2枚渡してきた。

前回と同じように1枚目は題名、2枚目に“謎“という構成だ。


題名は「消えた足跡」であった。


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