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ウルダ(39)

ジャンが消えた。そして唯一の手がかりは、木の下にあるタオルだけだった。そのタオルに小さな手の痕があって、ザアードはその指の痕を触れた。


まだ暖かい。


ザアードは木の周辺を見渡した。大した物はない。ほとんどゴミばかりだ、と彼は思った。


「おじさん!」


子どもの声が聞こえると、ザアードは振り向いた。


見慣れていない男の子だ。ジャンよりも大きいけれど、身なりは汚い。ぼろの服を着て、足には穴を空いている古びた靴だ。明らかにサイズは合っていない靴だけれど、その子どもは気にしないようだ。


物乞いか?、とザアードは思った。


「俺か?」

「アブドル・アラムさんだよね?」


その言葉を聞いたザアードは子どもを見て、うなずいた。


「ああ」


ザアードはそう答えて、子どもを見ている。


「三本の棒が赤い、残りは青い」


子どもがそういうと、ザアードは首を傾げた。


「それは誰から聞いた?」

「ウスマンという子どもが言ったよ。その代わり、この伝言を聞いたおじさんに、金貨一枚をもらうように、と言っていました」

「彼は今どこに?」

「知らないおじさん達が連れて行った。向こうに」


子どもが示した方向へ視線を移すと、ザアードはうなずいた。そして懐から金貨一枚を出して、その子どもにあげた。


「ありがとう、おじさん!」


子どもが嬉しそうに金貨をもらった。


「一つ聞いても良いか?」

「良いよ」

「この村に、警備隊はいるのか?」

「いるよ」


子どもはうなずいた。


「さっきから見えないが・・」

「昼間は寝ているよ」


子どもが金貨を大切に懐の中に入れて、笑いながら答えた。


「そうか。分かった。ありがとう」

「はい!じゃ、ね!」


子どもは手を振って、そのまま走り去った。ザアードはタオルを持って、周囲を見渡してから、子どもが示した方向へ向かった。


三本の棒が赤い、残りは青い。


まるで謎々のようなことだと思うけれど、以外とそんなに難しくないかもしれない、とザアードはそう思って、歩いた。何しろ、4歳児の謎々なんて、現役の暗殺者であるザアードにとって、朝飯前だ。


「閣下」


一人の男性が小さな声で言うと、ザアードはその男性を見て、何も言わずに近づいた。


「ジャン様に何かあったのですか?」

「拉致された。が、大丈夫だ。ジャンは村はずれにいる」


ザアードが言うと、その男性はちらっと見て、うなずいた。


「我々も行きますか?」

「今はダメだ。とりあえず、この村全体を把握しなさい。警備隊が昼間寝ている、と村人から聞いた。事情を確認して、ただの役立たずの怠け者なら、斬り捨ても構わない。ジャンの救出は、俺が行く」

「分かりました」

「あと、ハミド・サバルディンの行方を追え。見つかったら、確保せよ。報告はオリーブに」


ハミド・サバルディンとは情報を送った人でタレーク家の家来の一人だ。


「かしこまりました」


その名前を聞いた男性はうなずいて、仲間に合図を出した。彼らがその場を散ってから、ザアードは路地裏に入った。


ジャンが言った「三本の棒」とは、村はずれにある宿のことだった。この村に着いたときに、ザアードが宿を探して、その宿を見かけた。馬屋から見えた宿の庭にある枯れた木々が三本の棒に見えたから、ジャンは笑いながら、その木々がまるで三本の棒のようだ、とザアードに言った。けれど、あまり清潔な宿ではなかったから、結局二人はその宿から離れている宿へ行って部屋を取った。


「三本の棒が赤、残りは青い」の意味は、彼らのアジッドはその宿にある、ということだ、とザアードはそう思いながら、素早く裏道から見えた建物の屋根へ飛び込んで、二階の窓から中へ入った。


誰もいない、とザアードが確認した。しかし、一階から男性の話す声がした。そして、子どもの歌声も聞こえた。


ジャンの声だ。


ザアードが意味が分からないあの酔っ払いの歌だ。ジャンはその歌を知っているのか?、とザアードは周囲を気にしながらその歌の元へ向かった。


ズサッと!


ジャンの前に立っている男性が突然崩れて、倒れた。その男性の後ろにザアードがいる。


「大丈夫か?」

「はい」


ザアードが言うと、ジャンはうなずいた。小さな子どもの前にはお菓子や食べ物がいっぱいあった。ジャンの手にも、甘いお菓子があった。顔に砂糖や食べかすがかかっている。ザアードは思わず笑って、ジャンの顔を拭いた。


「知らない人に、付いて行ってはいけないよ」

「あ、はい」


ジャンはうなずいた。


「ごめんなさい」


ジャンが瞬きながらザアードの顔を見て言うと、ザアードは微笑んで、うなずいた。


「でも無事で良かった。相手は手荒な真似をしたら、どうするつもりだ?」

「うーん、大きな声で叫んでも、この村の人々は無関心ですし、多分そのまま殺した方が楽かもしれません」


ジャンは手元にあるお菓子を食べてから答えた。とても気に入ったようだ、とザアードはその様子を見て、思わず笑った。


「でも、殺したら、彼らと海賊の関係が分からないから、しばらく一緒に行くことになりました」

「なるほど。で、何が分かった?」


ザアードは周囲を見ながら聞いた。他の犯人がいるかもしれないから、念入りに調べた。


「彼らは基本的にスミルキア語を話しています。食事処で聞いた歌もスミルキア語で、彼らの間に交わした会話もスミルキア語でした」

「ほう。内容は?」

「この村を占領して、女性と子どもを集めて、売る、と言っていました」

「ふむ。それできみも、奴隷として売るつもりだったのか?」

「うーん、そこまでは分かりません。私がスミルキア語を話すことができたから、彼らは驚いて、私のことをスミルキア人だ、と勘違いしていました。船から落ちて、辿り着いたところでウルダ人に拾われた、と推理を言った人もいました」

「なるほど」


ザアードはそううなずいて、甘い物にまた手を出そうとしたジャンの手を取って、首を振って、持っていたタオルで拭いた。


「甘い物はもうやめろ」

「うむ、はい」


ジャンは残念そうに甘い物を見て、うなずいた。


「あの人はもう死にましたか?」


ジャンは横たわった人を見て、ザアードに尋ねた。


「死んだ。どうかした?」

「ううん」


ジャンは首を振って、死体の懐を調べた。ジャンが手帳を差し出すと、ザアードはその手帳を受け取って、すぐさまポケットに入れた。


「この人はいろいろと話してくれました。この村から出たら、スミルキアでお金持ちのところへ行こう、と誘ってくれました。甘い物がいっぱい食べられる、と言いました」

「嘘に決まっている」


ザアードは即答して、ジャンの手を引っ張って、外へ出て行った。


「良いか、ジャン」

「はい」

「先ほども言ったように、知らない人に付いて行ってはいけない。分かった?」

「はい」


ジャンはうなずいて、素直にザアードと一緒に外へ出て行った。ザアードはジャンを抱きかかえながら、次々と屋根に飛び移って、今度は村はずれにある広い地域に入った。ザアードは木々の上を飛び移りながら進んで、一軒家の扉の前に降りた。そして彼はポケットから鍵を取り出した。ザアードは扉の鍵を開けてから、中に入った。


「ここなら安全だ」


ザアードはそう言いながらジャンを降ろした。ジャンはうなずいて、周りを見ている。普通の家だ、とジャンは思った。


「誰の家ですか?」

「俺の家だ」

「家があるのに、なぜわざわざ宿を探したのですか?」

「念のためだ」


ザアードはそう言いながら、ジャンを降ろして、家を見て回って、安全を確認する。


安全だ、とザアードは思って、扉を開けて、厨房へ行った。厨房の中には井戸があった。


「きれいな水ならここにある。薪は少し待ちなさい」


ザアードはそう言いながら裏の扉を開けた。意外とホコリがない、とジャンは気づいた。


放置された家なのに、こんなにきれいなのは、不自然だ。


「この家に、誰か住んでいるの?」

「どうしてそう思う?」


ザアードはそう言いながら扉の近くに置いた薪を取って、かまどに入れた。ジャンが手伝おうとすると、ザアードは首を振った。彼はそのまま火起こして、薪に火を付けた。


「留守している家にしてはホコリがないからです」


ジャンの答えを聞いたザアードは笑った。


「俺の部下が定期的に掃除しに行く」

「そうですか」


ザアードの答えで、ジャンは不思議な目でザアードを見ている。


「それがおかしいか?」

「あ、いいえ」


ザアードが聞くと、ジャンは首を振った。


「あの海賊たちがここまで来ないですか?」

「来たら相手にする。が、多分来ないだろう」

「どうして?この家はオリーブの木々に囲まれているからですか?」

「その通りだ」


ザアードはうなずいた。


「罠がありますか?」


ジャンが聞くと、ザアードは答えず、笑っただけだった。そして彼は棚から大きな鍋を出して、かまどの上に置いた。他の棚から米やタマネギなどを出して、調理し始めた。


「何を作りますか?」


ジャンが気になって尋ねると、ザアードはジャンを見て、笑った。


「今からきみのお昼を作る。おなかが空いただろう?」

「あ、はい」


ジャンはうなずいた。


「あの店の料理は毒が入ったからです」

「だろうな。俺が食べた物は毒がなかったがな」

「はい、でも、あまり美味しくなかった」

「ははは」


ザアードはポケットから袋を出して、その中から干し肉を取りだした。


「あの食事処の主人はどう思う?」


ザアードは干し肉を切って、鍋に入れた。


「うーん、多分海賊の仲間だと思います」

「どうしてそう思う?」

「わざわざ私たちの食事に毒を盛ったからです」

「なるほど」


ザアードは微笑んで、干し葡萄と塩をパラパラの鍋に入れてからフタをした。


「きみも食事の中に毒が入っていることを分かっているだね」

「はい」


ジャンはうなずいた。


「でも、私はまだ下手です」

「これから少しずつ慣れれば良い。タレーク家にいる間に、そのことを嫌でも勉強させられる」


ザアードは井戸を汲んで、水を容器の中に入れた。


「外にいると、必ず水か白湯をもらうようにしなさい。紅茶やコーヒーなど、絶対にだめだ。無味無臭の毒はあるが、かなりレアだから、無闇に使う人がいないから、無味無臭な水や白湯は安全だ」

「はい」


ザアードはグラスに水を注いで、ジャンに渡した。ジャンはうなずいて、その水を飲んだ。


トントン、と突然扉がノックされた音がすると、ザアードは扉を開けた。数人の部下が一人の男性と一緒に現れると、ザアードはうなずいて、中に入るようにと合図した。


「こいつはジャン、俺の弟だ」


ザアードがそう言いながら、ジャンの隣に座って、入って来た彼らを見ている。


「で、早速だが、報告せよ」


ザアードが言うと、その男性はチラッとジャンを見てから、彼が知ったことを報告した。


ジャンの言った通りだ、とザアードは思った。ただ、港に停泊している海賊船だけだと、村の女性と子どもたちを全員入れると、無理だ。


ということは、次の奴隷船が現れてくる、という可能性がある。あるいは陸からの敵が現れる可能性がある、とザアードは思った。


「兄さん、聞いても良いですか?」

「なんだ?」


ジャンが言うと、ザアードは耳を傾けた。このような状況でまったく怖がる様子もない子どもが始めてだ、とザアードは思った。このような考えを抱くのは、自分だけではなく、この場にいる彼ら全員が同じことを思うだろう。


「海賊がここに来たのは、ただの餌、という可能性はありませんか?」


ジャンが言うと、ザアードは驚いた。けれど、顔色を変えず、ただ耳を傾けただけだった。


「どうしてそう思う?」


ザアードは聞いた。


「この流れが不自然ですから」

「不自然?」

「はい。お祖父様から聞いた話ですが、海賊は港に来て、目的はほとんど水と食料だけです。もっと大きな港だと、奴隷と宝を売ったりします。奴隷は小さな村や襲った船から調達している、と仰いました」


ジャンが言うと、ザアードは顔色を変えずにうなずいた。


「それで?」

「うむ、アスビー村を攻めるなら、彼らは人数不足だと思います。役に立たなさそうな警備隊がいるけど、この村に男性も結構いると見えます。港にあるあの壊れた船は、海賊によって壊された物ではなく、賭け事に負けた持ち主が怒って、自ら破壊した、とウボが言いました」

「ウボ?」

「私が伝言を頼んだ人の名前です」

「なるほど」


あの物乞いか、とザアードはうなずいた。


「じゃ、彼らがここに来る理由は、何らかの罠、ということか?罠なら、誰を待っている?」


ザアードが聞くと、ジャンは少し考え込んだ。


「間違ったらごめんなさい」

「訳を言う前に、いきなり謝っても困る。説明を続けなさい」


ザアードは即答した。


「うーん、多分、多分なんだけど、彼らが罠にかけようとするのは、私たちじゃないかな、と思います」

「ほう。それはなぜ?」

「うーん、海賊はスミルキア語で話したでしょう?」

「ああ」

「そもそもウルダ語が話せないなら、一週間以上もウルダに居座ることはしません。もし寄ってくるだけなら、食料と水だけもらって、長くても三日か四日ですぐに出発するでしょう。いくらウルダが気に入ったとしても、彼らがここにいる理由はないでしょう。暴力を振ろうとしても、村人の方が多いから、負けます」

「なるほど」


ザアードはうなずいた。


「でも、彼らはウルダ人が理解していないスミルキアの言葉で喋ったから、この村の人々も困っていることも事実です。このことをタレーク家に連絡したら、必ず外国語ができる人が送られてきます。今のタレーク家には、外国語ができる人は父さんか、サヒム兄さんか、サラム兄さん、サアード兄さん、そして私がいます。タレーク語以外の言葉になると、かなり絞られます。そうなると、私たちがここに来ることは予想されるでしょう」

「なるほど。アスビーから情報を送ったのは、そこにいるハミド・サバルディンだ」


ザアードが言うと、ジャンはその男性を見ている。


「おじさんはハミド・サバルディンさんですか?」

「はい」


ジャンが聞くと、ハミドはうなずいた。


「どうして海賊が来たことを、ここから離れているマグラフ村に送ったのですか?」

「私はタレーク家の家来だから、タレーク家に報告を入れるしかありませんでした」

「でも数が二十人しかいない海賊ぐらいなら、この村の男性たちは押さえることができると思います。いくら警備隊が怠け者でも、村人が抵抗したら、海賊二十人ぐらいはなんとかなると思います。でも、基本的に、どの国の港でも、悪さをしなければ、別に入港するぐらいは騒ぎません。あの海賊たちもここで悪さしていなさそうに見えます。だから村人が彼らを無視しています。港が静かだったのは、元々ここは小さな港であって、たまにくる釣り人のために船が出ていて、それらの船が海からまだ戻って来ていないからだ、とウボが言いました」


ジャンはハミドを見ながら話した。


「ジャン、誰から海賊の人数を聞いた?」

「兄さんが殺した海賊からです」


ザアードが聞くと、ジャンは正直に答えた。


「その海賊は仲間と喧嘩しました。もう一週間になるのに、まったく動きがないと嘆きました。飽きたでしょう、と思ったけど、仲間はそれが上からの指示で、しばらくここにいるように、と言いました。上の人はお金持ちを襲う計画をしているらしいけど、お金持ちは大体用心棒を抱えているから、要注意だ、と言いましたよ」

「ふむふむ」


ザアードはうなずきながら水を飲んでいる。


「兄さんが殺した人によると、彼らのもう一つの目的は、この村に行って、奴隷を調達することです。女性と子どもたちをさらって行くとしても、たった二十人だと難しいと思います。彼らは特別に強い訳ではなさそうなんだから、拉致しても、子ども数人ぐらいでしょう」


ジャンが言うと、ハミドの顔色が悪くなった。


「物乞いのウボでさえ、今でもどこかで物乞いしています。奴隷にするなら、身内がいないウボのような子どもたちの方が楽だと思います。だから、海賊の本当の目的は女性と子どもたちではないと思います」

「そんなの分からない!」


ハミドが声を荒げに言うと、ザアードは険しい顔でハミドを見ている。けれど、ジャンは首を傾げながらハミドを見ている。


「どうして?なぜ分からないのですか?」


ジャンは疑問を唱えた。


「この村にずっといるなら、そのことは分かります。でも、おじさんは彼らのことを、とても大げさに書いたから、父さんが私と兄さんをここへ送りました」


ジャンはにおいがするかまどにチラッと見て、再びハミドを見た。良いにおいがした、とジャンは内心で思った。


「確かにそうだったな」


ザアードが立ち上がって、かまどの料理を確認した。


「イルカンディア人がウルダに攻めるかもしれないという噂が広がっていることで、否定できない。しかも、イルカンディア語ができる味方は、ジャン以外は思い浮かばない」


ザアードはそう言いながらかまどの火を小さくした。


「だが、罠なら、誰がしかけたか、誰を罠にかけようとするか、気になるところだ。俺とジャンが狙うなら、大軍じゃないと勝てないということも理解しているだろうな」


ザアードはそう言いながら、机にナイフを置いた。


「ザアード兄さん、この村には、知り合いや親戚はいますか?」

「父方の従兄弟、オスマンじいさんの母方従兄弟がいると聞いた」

「オスマンじいさんの従兄弟の名前は分かりますか?」

「確かザイム家だと思うが、詳しく知らない」


ザアードは正直に答えた。


「うーん、ザアード兄さんのことか、私のことか・・。私たちのことをなんとかしようという人物なら罠をかけるかもしれません。分からないけど・・」


ジャンが言うと、ザアードは考え込んだ。


「俺のことなら、見当も付かない。敵が多いのも事実だ。が、ジャンのことを、誰が敵対したか、心当たりがあるのか?」


ザアードが聞くと、ジャンは首を傾げた。


「山賊とタックス軍?」


ジャンが言うと、ザアードは首を傾げた。


「なんだ、みんなここにいたのか?」


突然扉が開くと、ザアードたちはその声に向かって、視線を移した。外にいるザアード班は彼を通しただろう、とザアードは思った。


「久しぶりな、サラム。どうした?」


ザアードが聞くと、サラムは笑って、かまどを見て香りを嗅いだ。


良いにおいだ、と。


「人を追ってね」


サラムはザアードが調理した鍋を見て、大きな笑みを見せた。


「誰だ?」


ザアードが聞くと、サラムは振り向いた。


「イスハック・イルシャードだ」

「生きているのか?」

「もちろん」


サラムはジャンの頭をなでてから、ポケットから数粒の飴玉をジャンの前に置いた。


「しかも、彼はタックス軍と一緒に、ここに向かっている」


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