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SHs大戦  作者: トリケラプラス
第八話「0と1を超えて」
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8-3 メカゴブリンの洞窟

            ♦

 この世界での初の食事におっかなびっくりだったアークたちだったがそこは安心というべきか拍子抜けというべきか。少なくとも味は現実世界とそう大差ないものがお出しされたことで問題なく腹を満たすことができた。夕食を終えた彼女たちはメカゴブリンたちの工場を破壊するため宿を出立する。


【お気をつけて~!】


 宿屋の女主人や村人たちに見送られながら村を後にして一時間ほどたったころには複数の戦闘をこなし指定された洞窟の前につく。


「お~お~ゴブリン共が随分ハイテク文明に目覚めてやがるぜ」


「小癪なのだ~」


 洞窟の前には見張りなどは存在しなかった。代わりというようにこれみよがしに設置された監視カメラが周囲を警戒していた。


「これからの時代ゴブリンにもIT技術が必須ということでござろうな」


「デジタルネイティブというやつか工場から生まれとるしの」


 監視カメラを前にしても異界の勇者たちは余裕を崩さなかった。設置された監視カメラはゲームであるがゆえかそれとも杜撰な頭脳のせいか旋回タイミング次第では潜り抜けることが可能なタイミングが存在したのだ。

 SHたちは元々悪のありえん。の中でも最大規模のカルヴァリーの秘蔵っ子たちだ。SHになるまえから数多くの工作任務などをこなしてきている。それが今人外の能力を得ているのだ。小学生一人を抱えたところで監視の目を掻い潜るのは容易だ。

 洞窟に潜入するとわかることがある。それは洞窟全体が綺麗に舗装されているということだ。近未来的な床に壁面は元の吹き抜けの面影はない。


「サンの実験室みてえだな」


「ロボアニメ好きとしては興奮するでござるがこれゴブリンの作ったものなんでござるなあ。複雑にござる」 


 通路は入り口よりもむしろ広く時折地下への階段や分かれ道も存在しているので外観からは想像できないほどに内部構造は広い。当然敵地であるため頻繁にメカゴブリンとその亜種と遭遇することになるが仲間を呼ばれる前に速攻で片づけることで事なきを得ていた。


「流石に内部はダンジョン然としておるな。こう入り組んでおると地図が欲しい所じゃが……」


「あれを見るのだ!」


 メアが指さした方をみると近未来的な空間には似つかわしくない古ぼけたいかにも宝箱といっていい入れ物が存在していた。そしてそんなものを見た暁にはじっとなどしていられないものがここにはいる。


「宝~!アタシんだ~!!」


 当然アークだ彼女は宝箱目掛けて一目散に駆けていく。途中簡易的に仕掛けられたトラップが作動するが殺人鬼の仕掛けたものに比べると天と地の差。かすり傷一つ負わずに辿り着くそして。


「御開帳~!あん?」


 アークは宝箱に喰われた。


 宝箱が独りでに開きアークを頭から飲みこんだのだ。見れば宝箱の蓋には上下それぞれに歯のようなものがならんでおりアークの胴体をガブリガブリと噛みついている。


「アーク殿ぉ!?」


「ミミックじゃあ……!ゲームの中であれば当然いるわのう」


 擬態という名を持つこのエネミーは電源非電源を問わずゲームに親しんだものの間では広く知られた存在だ。故に驚きはするものの腰を抜かしたりはしない。それは彼女も同じことだ。


「なんじゃあこりゃあ~!!アタシの宝はどこいった!?ああ!?」


 宝箱の中から憤慨の声を上げたアークはメラメラと怒りを燃やすと自身の身体ごとミミックに火をつけた。シン・アーク。アークのSH能力だ。SH能力が使えることはこれまでの戦闘で確認済み、威力はこの世界の法則によりステータス相応のものになっているが属性などはちゃんと機能している。


【ギョゲ~!?!】


 たまらずアークを解放するミミックだったが怒れるサメがそれで止まる筈がない。斬撃、殴打を繰り返し瞬く間に破壊される。


「危なかったのだ~……む、これを見るのだ」


 ミミックの倒された場所には地図のようなアイコンが現れていた。恐らくこれが探していた。


「この場所の地図じゃな。これで探索が随分楽になるぞ」


「ミミックもいるとは……でござるな。これは他のゲームでのジンクスなどは一通り警戒したほうがよさそうでござるな。ひとまず宝箱は見分ける方法ができるまでは遠くから攻撃してから開けるようにするでござる」


 ランカの方針に頷き、皆は地図を頼りに探索を行う。といってもそれにより最高効率で深部に辿り着くといった動き方ではなくむしろ逆、彼女らは行き止まりなどにわざと足を運び宝箱の取り逃しのないようにダンジョンを探索しきるように動いていた。

 そして度重なる戦闘と宝箱とミミックを超えてついに彼女たちはダンジョンの最奥、メカゴブリンの生産施設へと辿り着く。そこにはラインで製造されていくメカゴブリンたちがあった。

 それらを守るように設備の周りには警備係のメカエネミーたちが存在している。彼らはついに最深部に辿り着いた侵入者を検知すると襲い掛かるでもなく集合した。


「なんだぁ?」


 アークたちが警戒してその様子を眺めているとメカゴブリンたちに変化が現れる。彼らはそれぞれ変形しながら周囲のメカゴブリンたちと次々と接合していく。


「な、なんと……メカゴブリンたちが……メカゴブリンたちがどんどん合体していくでござる!」


 ランカの言う通りのことが起こっていた。時間と共に膨れ上がるように巨大化していくメカゴブリンたちの集合体は眩い光を放つ。そしてその光が消えるころにはその姿を見せていた。その様を見ていたメアが呟く。


「おめでとう!メカゴブリンはメカゴブリン戦車に進化したのだ!」


「めでたくねぇ~!!」


「そうはならんじゃろ!」


 メカゴブリンたちが結集してアークたちの前に現れたメカゴブリン戦車は通常の戦車より二回りも大きい怪物戦車だった。怪物が火を吐く。


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