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SHs大戦  作者: トリケラプラス
第六話「埼玉鉄道99」
71/134

6-9 またね

 『次の駅に到着します院塔~院塔』



 戦いを終え、客車にてメアと合流したアークたちに車内放送の声が聞こえて来る。その情報にライズは立ち上がり。


「私ここで降りるわ。折角来てくれたのにあんまりおもてなしできなくてごめんね~」


「そんなことないのだ!色々面白いもの見れて楽しかったのだ!アークの友達がライズみたいなねーちゃんで安心したのだ」


「うん。嫌われてるかもって思ってたけど……無事に会えてよかった」


 そこまで聞くとライズは人目も憚らずアークを抱きしめてやる。アークはとまどいつつも人肌の温度に心地よさを感じ身を委ねる。その耳元でライズは囁く。


「トモダチでしょ。嫌ったりしないわよみんなね。色々変わったけど甘えんぼさんなのは変わんないのねアークちゃん」


「うるさい」


「ははははは、そうだ、連絡先交換しときましょ。それと……他の娘はわからないけど私、コタツとだけは繋がり保ててるのよね。あの娘にも今日のことお連絡しておくわね」


 コタツ、その名を聞くと顔を明るくしたアークだったがふと、顔を諫め、何かを決意したかのような表情でライズに向かい合う。


「いや、連絡先だけ教えて。コタツちゃんには私から連絡する。そうしないといけない気がするから……」


「……そう。頑張ってね。でもわかってるとは思うけど……あの娘返事凄く遅いから……なかなか返事が来なくても落ち込んじゃだめよ?」


「ハハハ、一ヵ月ぐらい待たされるかもね」


「そんなになのだ~?」


 皆でくすくすと笑っていると汽車が駅に到着し人々が我先にと車外に出る。そんな波にライズも続き。駅のホームからアークたちに向って手を振る。


「じゃーねアークちゃん、メアちゃん、ミニアークちゃん。また会いましょ~」


「またねライズちゃん!」


「またなのだ~」


「ジャアナー」


 そしてアークたちを乗せ、通常走行へと戻ったツクモは次の駅へと進見始める。客も少し減った車内でメアは思い出したように叫ぶと隣のアークをゆする。


「そういえばライズのねえちゃんが何の仕事してたか聞いてなかったのだ」


「そういえば何やってんだろうな。ちょっと聞いてみるか。ライズちゃん今なんのお仕事してるの?っと返信くるかな」


 メッセージを送信して数秒後ミニアークが再び現れ。


「返事ガ来タゼ」


「どれどれ」


 アークたちは一斉にメッセージ画面をのぞき込むそこに記載されいた内容はこうだ。


『さっきぶりだネ!!!


 お姉さん の職業が気になるのカナ???

 アークちゃんはお姉さんさん大好きなんだなぁ( *´艸`)

 ナンチャッテ(^-^)/

 それじゃあ教えてあげるネ!お姉さんの職業は万引き!Gメンだヨ!?!?

 万引きしてたラ?パクパクしちゃうからネ(`・ω・´)

 それじゃあネ♡』

 この文言に皆は顔を見合わせ。やがてアークがぽつりと皆の総意を呟く。


「どっちかっていうとライズちゃんがパクられる側だよな……」


 アークたちはその後せっかくなので埼玉観光を続け、サンに頼まれていた地元の入浴剤と土産を購入して帰路についた。

 なお、余談であるが汽車ツクモは道具が意思を持つようになる不思議な汽車として一層根強い人気を獲得した……らしい。


 方舟市の廃墟区画。日中もありえん。に類するものたち以外滅多に立ち入らない区画であるが、それも深夜となると人の気配が絶えたような静けさである。

 そんな区画の一棟。その暗い一室の中で光りを放つものがあった。モニターだ。小型のモニターが起動しており。少し前の時間の方舟市の街の各所を高速で映し出している。街中の監視カメラに介入していると思われるそれらの映像の中に一人の少女の姿が映っていた。

 サメの少女アークだ。カメラが彼女の存在を認めた瞬間。幼さを含んだ歓喜の声が漏れる。モニターの前には春だというのに厚着をしたどこか浮世離れした少女がいた。15程の年頃だと思われる少女がこんな場所にいること自体が異常であるが、彼女に至ってはここにいることが自然であると思わせる雰囲気を持っていた。


「アークちゃんだ!埼玉から帰ってきたんだね。あはははは、お金ないのに買いすぎ。変わんないなぁもう……っといつもの子はまたいるんだ」


 笑い、懐かしみ、不機嫌になる。コロコロと変わる端正な表情はとても愛らしくであるというのにどうしようもなく見るものの背筋を凍らせる空気を纏っていた。少女は手元のナイフを弄び。


「沢山準備してきたから目一杯遊ぼうね。アークちゃん」


 そう無邪気に嗤う少女の背後には物言わぬ死体が転がっていた。

挿絵(By みてみん)

これにて第六話「埼玉鉄道99」完結です。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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