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SHs大戦  作者: トリケラプラス
第四話「英霊転生」
42/134

4-12  フォースステージ

私の所属するサークル【ティラノプラス】はコミックマーケット100の二日目に日曜東ア38bで参加します。

当日はSHs大戦の頒布を行いますので予定が合いましたら是非。

 ♦

<気取った女性の声>

 解説しよう。緑の騎士とはランスロット同様、円卓の騎士を務めるガウェイン。彼を主人公とした物語のことさ。

 アーサー王の城で宴が開かれているとき、全身緑の大男、緑の騎士が現れて自らの首を落とす遊戯を持ちかけた。それに応えたガウェインは緑の騎士の首を落とすが、首を落とされたというのに緑の騎士はこともなさげに首を拾いガウェインに対して一年後に緑の礼拝堂を探しやってくるように伝えると去っていった。こうしてガウェイン卿の旅が始まったのさ。

 でもこれどうイベントに落とし込むんだろうね。探索は聖杯探索でやったような……?


 広場にエレインの声が響く。 


「緑の騎士はファーストステージ同様、個人戦の種目となっています。気になる種目内容は……ハイ、エレインさん!」


「はいな!フォースステージはアイテム持ち帰り式の種目となっています!そして皆さまが持ち帰るのはコレ!!」


 エレインはテンション高めに言葉を紡ぐと意気揚々と後ろの隠していたものを参加者たちの前に掲げ揚げる。その緑の物体は丁度人の頭ぐらいの大きさの、いや。

 ソレは人の頭部だった。テンションの高いエレインが掴み掲げるのは真緑色の人間の生首だ。会場から恐怖に駆られた悲鳴が上がり騒然となる。だが、直後に付近の拡声器から大音量の気の抜けた効果音が鳴り、皆の注意はそれに逸らされる。


『落ち着きたまえ君たち。それは作り物だよ。つ・く・り・も・の。我々が用意した機械だよ、安心したまえ。落ち着いたね?それでは続きを頼むよ』


 音に続いて拡声器から声を投げかけ皆を落ち着かせたのは市長だった。彼女から続行を命じられたエレインたちは再びマイクと緑の生首を掲げる。


「現在方舟市の各地にはこの緑の騎士が大量に配置されています。各地に潜む緑の騎士たちからできるだけ多く首を獲ってこの会場まで持って帰ることでアーサーポイントに変換されます。緑の騎士はこの会場から遠い場所ほど多く密集して配置されていますが、その分時間内に量を持ち帰るのも大変になってきますので戦略と相談ですね。ちなみに緑の騎士が市内のどこに配備されているのかは配布された時計から地図を確認してください」


「子供やお年寄りがちゃんと首を獲れるか心配?問題ないです。緑の騎士は首外し機構に徹底的に拘っており子供やお年寄りでも簡単に首を取り外すことができる使用となっています。もっとも首の重さは実際の成人男性の頭部の重さを忠実に再現してるので結構重いです。そのあたりは結構厳しいかもしれないですね~」


 エレインたちの言葉を聞き参加者たちはそれぞれ腕時計を確認して緑の騎士たちの分布を確かめ戦略を練る。


「メアたちはメアについてくるのだ!」


「団体行動でござるな。承知したでござる」


「なんでお前が隊長やってんだよ。いいけどよ」


 アークたちのように元チームメイト同志で協議する例も見られた一方。


「あれが緑の騎士……?いや、緑の騎士の頭は人の三倍ほどのひげ面。いや、もっと悪魔的だったか?むう、記憶が」


「おい、しっかりしろ。イベント中だぞ」


「む、ああ。余は健在である。我らはここからは別れ各々で首級を上げようではないか。競争というのもたまにはよかろう」


「ふぉ、ふぉ」


 アルトリウスたちのようにそれぞれ思い思いに動こうとする者たちも数多くいた。そういった流れを見届けた後、エレインたちは宣言する。


「「それではこれよりフォースステージ、緑の騎士を開始します。制限時間は一時間それまでできるだけ多くの首級を上げてきてください!!」」


 首狩りの集団が街に解き放たれた。


 首を狩りに街に繰り出したアークたちは大量ポイント獲得を目指し、町はずれの林の中にたどり着いていた。そこでは周囲に生え茂樹木たちに保護色で紛れながらも一面に林立した緑の騎士たちがあった。

 そのうちの一つに近づくと気づくことがあった。緑の甲冑を纏った全身緑の騎士はまるで本物の人間のように精巧な作りをしていて異様な威圧感を放っている。だが、彼女らが気づいたのはそこではない。緑の騎士の、首元だ。よく見ればそこには全身緑の中で唯一の黒の色が使われていた。首回りを一周するように黒の破線が取り囲み、その下には「こちらから切り取れます」という注意書きが書かれていた。


「ナニコレ」


「アークーこっちに台と斧がいくつか置いてあったのだ~」


「斧は破線部分から首を飛ばすためのもの、台はメア殿のような小柄な方が使うようでござろうか。アーク殿これでいっちょその者の首を跳ねてみるといいでござるよ」


「よっ、アークのいいとこみってみ、たい。なのだ」


「お前ら自分が何言ってるか理解してる?」


 そういいつつもアークはランカから斧を受け取、緑の騎士に向かって振りかぶる。一呼吸のあと、昼空に緑の首が舞った。

 それはまるで白球の舞う夏の甲子園球場の空のようであり、皆が見上げるなか生首は徐々に高度を落とし、やがて地面を転がった。メアはそれを両手で広い上げるとアークに持ってくる。


「はい。アークの首級なのだ」


『オノレコノ恨ミ晴ラサデオクベキカ。汝ノ子孫末代マデ祟ッテヤロウゾ。コノ畜生悪鬼ドモメ』


「めちゃくちゃ恨み言ってくるじゃねえか……いてっ!?噛んだ!?噛んで来やがったぞコイツ!?誰だよこんな馬鹿みてぇな生首作った奴は!?」



「くしゅん」


 サンは自宅にて大きくくしゃみをすると。あたりを見渡し近場のティッシュを手に取り鼻をかむ。


「花粉か?」


 一度斬首の要領を覚えたアークたちは各々が斧を持ち、周囲の生首を次々と収穫していった。一つの地点で狩りつくすとまた近場の収穫場に移り斬首していった。そうして3人ともが両手に抱えきれぬ量の生首を手に入れると、ポイントに変換するために帰路につくことになった。

 成人男性の頭部ほどの重さの生首を抱えて歩くのは困難で、ところどころで生首をこぼしそれを拾いながら街へ降りた。街へ降りると当然。


「イヤー!首斬り役人!?」


「あ、いやアタシらは……」


「ウワー!?カーリー女神!?世界の終わりが近いのか!?」


「世紀末なのだー!」


 真緑の生首を抱える少女たちに街の人々はギョッとしたり、酷いものは狂乱状態に陥いるなど様々な反応を見せる。このような絶叫が街中のあちこちで上がっているあたり騒ぎを起こしてるのはアークたちだけではないのだろう。

 ともあれ至るところで騒ぎを起こしていれば大量の生首を保持するのも難しくなる。やがて


「スッテンコロリンなのだー!」


 大量の生首がぶちまけられる。


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