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SHs大戦  作者: トリケラプラス
第四話「英霊転生」
39/134

4-9 騎士王との対決

 レースのトップ争いは一周目を超え、二周目の中盤に差し掛かっていた。

 アークたちは卓越したハンドル技術でコーナーを攻め未だにトップを走っていた。だが一台の荷車が他の荷車を押し退け無理矢理突破して来る。その荷車はそのまま挨拶代わりにアークたちに一度体当たりをくれてやる。衝撃が走り。互いの荷車が揺れる。


「てめぇ何してくれやがんだ!」


 怒鳴りつけるアークだったが相手は答えず。無言で車体を寄せて来る。だがランカの咄嗟のハンドルさばきによって二度目を喰らうことはなかった。


「正体を現すのだ!」


 メアの言葉についに荷車の男たちは口を開く。


「久しぶりだな……アーク。俺達を覚えているか?


 ニヒルな笑みを浮かべる男たちにアークは、


「誰……?」


「簒奪の詩だ!ほら!これでも思い出せねぇってのか!?」


 荷車に乗る男達はいそいそと目出し帽を付け主張する。だがそれでもアークは皆目見当もつかないと言ったように目を白黒させ。


「誰……?」


「ブッコロス!」


 再びバース・ジャックが体当たりを敢行しようとした瞬間。後方で鉄が激しくぶつかる音と悲鳴が聞こえて来る。


「な、なんだぁ!?」


 それは連続し徐々に大きくなって迫って来る。やがて音の発生源が姿を現す。


「き、来た……アーサー王が来たのだ!」


 アーサー王は光輝いていた。

 実況の声が響く。

挿絵(By みてみん)

『突如神々しい光を纏ったアルトリウス選手の荷車が次々と他のチームを抜き去って……いや弾き飛ばして進んでいく~強いそして早すぎる。追い上げが止まらなーい!』


 この状況に動揺したのはアルトリウスの前方車群。


「く、くそ……なんだこの荷車。バカみてえに早えし強えぞ!?ほんとに俺達と同じ荷車か!?」


「やつを前にださせるな!追いつけなくなるぞ!」


『あーっと!何という連携。二十を超えるチームが結託して密集。アルトリウス選手の前に壁を形成したー!これは通れない!』


 実況の言う通りアルトリウスの眼前には分厚い壁が形成されている。横に抜けようにも壁は合わせて動く。抜けられない。ならばと彼女は構わずアクセルを踏む。


『な、な、なんとぉー!?信じられません。あれほど分厚かった壁が円卓チームの突撃に次々と崩されていきます。止まらない……もはや無敵としか言いようはありません。円卓チーム。アルトリウスは無敵だー!!』


 そして一気に最前へと躍り出る。

 

吹き飛ばされた鉄の荷車たちが降って来るそれらをアークネードの竜巻で防ぎながらアークは歯噛みし。


「くそ、あの光。荷車を強化してやがるな……!やっぱSHだったか。ランカ!スピードあげろ追いつかれる!」


「これ以上は無理でござるよ!」 


 一方バースジャックたちは風に煽られながら必死に振りそそぐ鉄の雨を必死に避ける。


「まずいですボス。あいつこっち来ますよ!?」


「知るか!それよりもアークの野郎をぶっつぶすほうがさー」


 次の瞬間後ろから吹き飛んできた荷車によってバースジャックはコース外に吹き飛ばされた。

 そして当然の帰結のようにそれはやって来る。


『チーム円卓!最下位からトップへと踊りでたー!』


 二周目をアルトリウスたちの荷車がアークたちの荷車を抜き去った。アークはアルトリウスをただ眺めることしかできず、そして彼女は一度もアークを見ることはなかった。


「のやろう……!」


 アルトリウスの荷車の速度はアークたちの荷車よりも早く引き離されていく。走れども走れどもその背を捉えることはできない。


「も、最早これまで……無念!」


「なーにいってんだ。勝負はまだまだこれからだろ。なあメア」


「うむ。その通りなのだ。何か逆転するための要素があるはず。確かこの辺りは……そうだ事故現場―なのだ!!」


 メアの言葉通り荷車の行く先では多くの荷車が横たわりちょうど山のように積みあがっていた。その現場をみたランカとアークは同時にお互いを見合わせ。


「行けるな」


「もちのロンでござるよ!」


 ランカはアクセルを一気に踏み込み積み重なった車体に直進。踏み台にして大跳躍する。

 その背を押すように実況の声が空に響く。


『チームアーク!信じられません事故車を足場に大ジャンプ~!一つ……いや二つコーナーを飛び越える。だがこれは飛距離が出過ぎか?一発逆転の奇策が裏目に出た、このままではコースアウトしてしまうぞ~!?』


 実況の言葉通り、アークたちはコースを大幅にショートカットし、アルトリウスたちのその先に飛び出ることに成功する。だが勢いが付きすぎた。荷車の軌道はコースを外れた位置で着地することになる。だが、


「そーはいくかよ!アークネード!」


 突如として吹き荒れる風が軌道を無理矢理矯正する。結果コースアウトするはずだったアークたちの荷車はコース内に着地する。


『なんと着地成功~!!アークチーム一世一代の大博打に見事打ち勝った~!チーム円卓をを追い抜き再びトップに返り咲く~!!ところでこれ大会的にOKなんですかね市長?』


『レースゲームとかやったことない?ショートカットは基本だよ、それに観客が盛り上がってるからオッケーオッケー』


『なるほど~!では気にせずゴール前のデッドヒートを楽しみましょー!』


 実況の声が響くなか最後の駆け引きが始まる。


 大きく距離を稼いだものの依然速度は光り輝くアルトリウスたちの方が上。徐々にその差が詰まり。やがて接触間際でメアが動く。


「バナナを食うのだー!」


「ぬう!?」 


 アルトリウスたちの荷車、その前方にバナナ型スリップ式トラップを設置。突如として現れたものに避けること叶わずチーム円卓は派手にスリップする。コースアウトこそまぬがれたものの再びトップスピードに乗るには時間がかかるのは自明だ。その隙にアークたちは更に距離を稼ぎにかかる。


 幾度目かのコーナーを越え。最後の直線がやってきた。アクセルを全力で踏み加速するアークチームそれを雷の如き勢いで猛追する円卓チーム。


『迫る迫る円卓チーム!逃げきれるかチームアーク!あ、ああ!差されたー!チーム円卓、トップへ返り咲く。このまま勝負は決まってしまうのか~!?』


 そんな中アークはミニアークを呼び出し。荷車後部に顔をだし地面に向って拳を構える。


「ハンマーナックルセット」


「何をする気なのだ~!?」


「こうすんだよ!」


 ハンマーナックルを付けた拳で虚空を全力で殴りつける。すると空気が爆ぜ。その衝撃で荷車は一気に加速、前方のアルトリウスの荷車に並び、そして。


『ゴール!チームアーク、チーム円卓同時にゴール!!ですが一着は一台だけ。ここは写真判定が行われます』


 空にゴールの瞬間の超スローカメラの映像が映し出される。結果は。


『チームアーク!サードステージを一着で駆け抜けたのはチームアークです。会場の誰もがチーム円卓の勝利を疑わなかった中での大逆転劇お見事とうほかありません!!惜しくも二着となったチーム円卓も遅れたスタートからの怒涛の追走劇で盛り上げてくれました。こちらにも大きな拍手を!』


 鳴り響く喝采の中。アークとアルトリウス、両雄は見つめ合い。


「へーんどんなもんだ。眼中にねえって態度してやがるから足元救われるんだぜ」


「貴侯、SHか……いや、なんであれ競い合う相手を軽んじたのは余の落ち度だな。貴侯、名はなんという」


「アーク」


「アークか、覚えておこう。だが次はこうはいかんぞ。聖剣を手にするのは正当なる所有者である余だ」


「んなこと言ってあっさり脱落すんじゃねえぞ。剣を手にして金持ちになんのはアタシだ」

 二人は暫しにらみ合った直後に踵を返して仲間の元に戻っていった。


『現在総ポイント数一位と二位の激しいにらみ合い。これはこの後も目が離せません。それでは皆様、次はフォースステージでお会いしましょう!』

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