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SHs大戦  作者: トリケラプラス
第四話「英霊転生」
34/134

4-4 ファーストステージ

挿絵(By みてみん)

「どけどけお前等~!アーク様のお通りだー!!」

 アークは大海原を遊泳するように自在に戦場を走り周り次々と風船を割っていく。そしてメアもそれに気を盗られた参加者たちの隙をついて次々とポイントを稼いでいく。快進撃が止まらない。だが、そんな状況をいつまでも許容する参加者たちではなかった彼らは互いに結託して動きアークらを追い詰めた。


「アーク……お前が暴れていられるのも今の内だ」


「日頃の恨みを晴らさせてもらうぜ。覚悟しろ」


「囲まれてるのだ~」


「くっ、こいつらよってたかって追い回しやがって……卑劣だぜ」


「お前には言われたくない!いくぞお前等~!」

 

取り囲むものたちが一斉に飛び掛かろうとする直前アークは動いた側にいたメアを掴みその風船に剣を突きつける。


「お前等!剣を捨てろぉ!こいつの風船がどうなってもいいってのかぁ~!?」


「な!」


「ふぇ~~ん暴漢に捕まったのだ~!!」


「あんな小さい子を人質にするなんて……これじゃ手が出せないわ……!」


 一転。攻めることができなくなった結託者たちは狼狽える。だがそのうちの一人が気づく。


「いや、あの子アークと最近一緒にいる子だぞ。仲間なんじゃないか?それにどうせこのイベントはサバイバル……俺たちが剣を収める理由にはならないはずだ」


「確かに騙されるところだったぜ……とても罪悪感があるがこのまま風船を割っちまおう」


 人質作戦が思いのほか効果を上げなかったことにアークは舌打ちし、そのまま腕でメアに合図をするすると。


「うぇ~~~~~ん!子供が助けを求めても大人は助けてくれないのだ~~!こんな社会嫌なのだー!怖いのだ~!」


 号泣を始めた。それはトレーニングを積んだ嘘泣きであったが周囲の大人たちには効果てきめんで、


「う、なんだか凄く悪いことをしている気になってきた……」


「あんないたいけな少女を泣かせるなんて……直ぐに剣を置くべきよ!」


「しかしなあ」


「ぴえ~~~ん人でなし~!甲斐性なし~~!そんなだからモテない。通学路で小学生に変なあだ名付けられる~~!ウワーン!!」


「わかったよ!剣を置けばいいんだろ!ほら、その娘を解放しろ!!」


 次々に剣を地面に置いたのを確認するとアークはメアを解放してやる。解放されたメアは覚束ない足取りで最初に剣を置いた大人の元に駆け寄ると礼を言った。


「助けてくれてありがとーなのだ~!!」


「ああ、君が無事でよかっ……た?」

 そのまま隙をついて風船を叩き割った。それは一人に留まらず惚けている周囲の人間の風船を次々に割っていく。


「う、ウワー!騙された!こいつらぐるだ……!みんな剣をとれー!」


「はっはぁー!ご苦労メア―!反撃開始じゃ~!」


 不意打ちに混乱している最中にアークも突っ込み見る見る内に数を減らされていく大人たちやがて……


「もう残ってるのはお前だけだなー」


「のだー」


「く。来るな……来るなー!!」


 二人に追い詰められた男は尻もちをつき手で後ずさりをする。彼にできることはもうない。敗軍の将として憤りの感情を叫ぶ。


「この……どこにだしても恥ずかしい悪ガキどもが……!」


 直後、絶叫と共に風船が弾ける音が鳴り響いた。



「アーク選手、メア選手。とても世間様み顔向けできないような戦法で窮地を脱出ー!勢いそのままに次々と他の参加者たちを捕食していくー!まるでサメ。勢いが止まらなーい!!」


 実況席で先の状況を熱く実況する頬の赤い黄髪の少女は一呼吸を入れるとボソっと隣の市長に尋ねる。


「これ大会的にはOKなんですかね……」


「ルールには徒党を組んじゃダメ、も騙し打ちしちゃダメともいってないからね~。開始前に形式手に名誉を大事にって言ったけど、面白いしいいんじゃな~い。まあ、それで聖剣がどう思うかは別だけどねぇ。その辺り気にせずヒカリくん

は思ったまま自由に実況しちゃっていいよ」


 笑って言うアトイに対しヒカリと呼ばれた少女は目を輝かせ。再びマイクに向う。


「おおっと!Cエリアでは爆発騒ぎだ~!勝つためにここまでやるか!騎士道精神なんぞその。ここは戦場生き残ったものが正義だとでもいうのだろうか~!?D地区では人が舞う大地が舞う!風船を割るだけなのに何故こうなってしまったのか!真相を確かめるため実況班はカメラを近づけるのであった!」


 アークとメアは爆発騒ぎなどから逃げ出す人々に狙いを絞り着実にポイントを稼いでいいっていた。残り時間も僅かとなりそろそろ狩場を変えようかというところでその足を止めることとなった。刺客が現れたのだ。

 赤髪の少女と青髪の少女。顔立ちから双子と判断できる二人の襲撃だ。


「駄目人間のアーク、メアちゃん……お覚悟~!」


「いくわよ私。私たち双子の完璧なコンビネーションで有力ライバルを討ち取るの」


 二人は小学生と思えぬ機敏なステップでアークとメアの辺りを周回し逃がさぬように、攻撃のタイミングを読ませぬように動いていた。そして動きが切り替わる一瞬がやってくる。双子による完璧なコンビネーションで放たれる攻撃がアークたちをおそ……わなかった。


「「へぶ!?」」


 二人は攻撃を仕掛ける直前左右へのステップが完全に重なり肩から衝突。そのまま地面に倒れ伏した。


「ちょっと私!私と私は一心同体なんだからちゃんと避けてよ!」


「私はニーエちゃんじゃないんですからニーエちゃんの行きたい方向なんてわかりませんよ。そっちが避けてくださいよ」


 眼前の敵を他所に「私は私なのー!」「私は私ですー!」と取っ組み合いの喧嘩を始めた双子に対してアークはあきれ顔でメアに問う。

「これ学校の友達?」


「そうなのだ。しかし戦場はシビア。友であっても容赦はできんのだ。えいえい」


「「あ」」


  有言実行。取っ組み合っている隙にメアは双子の風船を割り。ポイントを獲得。そのまま双子に剣を向け。


「連携が甘い!明日までに何が悪かったのか原稿用紙3枚分で纏めてくるのだ!!」


「「はあい……」」


 と、何故か上から目線で教育的指導を行うメアの背後から何かが駆けてくる音がするそれは直ぐそこまで迫っており。


「庶民メア……覚悟ぉー!!」


 お姫様のようなドレスに身を纏った少女が跳躍し突きの体勢でメアの風船を一直線に狙っていた。この奇襲をメアは一歩よこにスライドすることで悠々と躱し片脚を引っかけこかし。少女が地面に倒れ伏した隙を見て風船を叩き渡った。


「まだまだ甘々なのだ~。次はもうちょっとがんばるのだ~?」


「きぃ~~~~!!!覚えてなさいよー」


 再びアークは訊ねる。


「友達?」


「転校初日に叩きのめしたおじょうなのだ。いこう事あるごとにいどんでくるようになったのだ~人気者はつらいのだ」


「お前ホントに交友関係大丈夫か?」


「ボッチに言われたくないのだな~」


 アークたちが取っ組み合いの喧嘩を始めたところで終了を告げるアナウンスが流れ二人は手を止めイベント開始前の所定の位置に向けて歩き出した。そこでファーストステージにおける優秀者を発表すると告知があったからだ。


「メアが一位なのだ?どうなのだ!?」


「バーカ。アタシが一位に決まってんだろ。お前はそうだな、2位か3位ってとこじゃねーの?」


 そして上位三名の名が実況のヒカリによって読み上げられていった。


「3位 ランカ選手 840点」 


「2位 アーク選手 1400点」


「1位 アルトリウス選手 1800点。以上です。引き続き頑張ってください!」


「なっ!?嘘だろ……誰だよアルトリウスってSHか!?……まさかさっきの思わせぶりな連中の中に紛れてやがったのか……!?」



 動揺するアークは必死に周囲を見渡すとファーストステージ開始前に因縁をつけてきた二つの集団を見つけた。彼らは一様に不敵な笑みを見せた次の瞬間。


「「負けた……!!」」


 肩を落とし落胆した。彼らはみな一様に風船を割られていた。


「オイ!なんだったんだよテメーら!」


「脱落した人達にはサファリパークツアーやカジノツアー、水族館ツアーや美術館ツアーなどを用意しているので振るって参加してね~」


 彼らは市長の促しに応じ皆思い思いのツアーに参加していくそんな中各集団のリーダー格のように見えた優男と騎士はアークの前で立ち止まると。


「僕らはここで脱落だけど、アーク。君もまた優勝することはないといっておこう」


「あぁ!?負けた連中がなにいってんだ?」 


「なぜならこの大会には彼の王が参加しておられるからな……あの方以外が聖剣を手にするなどそれこそあり得ぬ話だろう……喋り過ぎたな。健闘を祈る」

 そういうと彼らもツアー参加者たちの波に紛れていった。


「たく。なんなんだよ」


「気にすることないのだ。二回戦でドーンと逆転してやればそれでオッケーなのだ!」


「そーだな」


(そーなんだが。アタシとアイツ以外にもSHが紛れてやがるのか……それともあのガキみたいなのがいるってのかこのイベント。どーも一筋縄じゃいかねーみてぇだな)


 所詮一般人の参加するイベントと少し舐めていたアークは気を引き締め。アルトリウスという名を心に刻み次のイベントへと気持ちを切り替える。

 セカンドステージでアークたちを待ち受けているものとはいったい何か。

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