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SHs大戦  作者: トリケラプラス
第二話「オタクランドサガ」
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2-11 換歴人の力

「ぶっ!?あちゃちゃちゃちゃ!いてー!!」


 完全に予想外の爆発を回避できるわけもなくモロに衝撃と火炎を喰らったアークは無様に地面を転がる。そして転がった先には当然。十字軍がいる。


「空手教室やってるんだけどどう?」


「バレーもいいわよー!」


「ボディビル見に行きましょう!!ナイスバルク!!」


 そうしてそれぞれがアークの四肢を持ち。牙を構え。


「布教ー!」


「傷心に付け込んでんじゃねえぞ!アークショック!」


 再びアークの瞳に閃光が走り。次いでアークの全身へと雷電が走る。

 アークを直接つかんでいたもの達は当然。その周囲にいた十字軍もまた雷に当てられ痺れ。倒れる。

 そしてアークはゆらりと立ち上がり。少し焦げた顔を擦ると百年来の仇敵を前にしたような鬼気迫る表情で下手人を睨み付ける。


「3つ……3つだ……」


「どうしたでごじゃるか~?爆発で頭を揺らしてまともに思考もできなくなったでござるか~?」


 睨みに僅かにひるみつつもあくまでおちょくる姿勢を続けるランカにアークは告げる。


「オメーは3つ許されねえことをした。一つは、めでてぇフィンサガ新台入替日を台無しにしたこと。二つ目はアタシらを追いかけまわして笑っていやがったこと。……そして最後は、アタシに金をくれなかったことだ!!」


 「全部自分のことじゃないですかー!もっとこうないんですか!?罪のない人々を弄んでとか!」

 

  安全圏からの突っ込みは意に介さずアークは続ける。


 「ぜってぇ許さねえ!推しアニメが円盤爆死する以上の絶望を味合わせてやる!!」


「ほぉー?それでー?依然ランカ様には指一本触れられていないでござるがぁ?一体どーやって絶望させるというでござるぅ?十字軍たちはまだまだ潤沢に残っているでござるよぉ?」


 ランカの煽りには取り合わず周囲の十字軍を徒手空拳でなぎ倒し道を作ると一気に加速。メリーゴーランドの方へ向う。


「は?真っすぐ来たところで捕まるわけが……」


 だがランカのその予想は裏切られることとなる。

 アークは高く跳躍するとメリーゴーランドの屋根の上へ着地。更にそこで止まらず再跳躍。回る観覧車の上に着地する。

 メアとリクが乗るゴンドラの上に立ったアークは両手を広げ高らかに宣言する。


「ぜーんぶふっとばしちまえ!アーク……ネードぉー!!!」


 まず最初に吹いたのは微風だった。一陣のソレは屋上にいる全ての人々の髪をなびかせ。次の瞬間その身全てを呑み込む大嵐と成った。

 宣言通り観覧車を目として屋上全てを呑み込む大嵐を発生させたアーク。数百にも上る十字軍たちは元気なものもそうでないものも老いも若いも関係なく上空へ打ち上げられた。教主であるランカもまた吹き飛ばされようとしているものの、メリーゴーランドの柵に必死にしがみついて吹き飛ばされまいとする。


「うおー揺れるのだー!」


「だ、大丈夫ですよメアさん。ちょっと!何やってるんですかアークさん!!」


 叱責を受けたアークは真っすぐにランカを見据えている。そして竜巻の発生を止めるとゴンドラを蹴って跳躍。へとへとになったランカの元へと降り立つ。


「さ……て。群れの仲間はもういねえ。ここからはアタシがオメェ一匹を追い詰める。漁の時間だぜ」


「へ、へへへへ。ぶひゅ、そんなぁちょっと……ちょっとタンマでござるぅ!」


「タンマなし!」


「あべし!」


 アークの勢いのいいストレートパンチが急に卑屈になったランカの顔面を捉える。それを皮切りに腹部へのフック。ローキック。顔面パンチが次々と決まる。ランカの極厚の眼鏡は割れ砕け。鋭い瞳が姿を現す。


「眼鏡ありでもなしでも美人だな。でも許さん」


「美人薄命!?」


 ラッシュが開始される。上左下右左下右上右。ランカの顔面に怒涛の勢いで拳が叩き込まれていく。


「や、やめるでごじゃる~!」


 苦し紛れのストレートパンチを放つもアークはそれに合わせて下から拳を突き上げる。


「みぎぃ!?」


 耐衝撃が施されている防刃グローブをつけていたため他の部位は無事だったが丁度その守りが掛けていた第三関節から先の指は折れ曲がっていた。


「かっこよさ重視でやるからそーなるんだぜ?なあ?」


 うずくまるランカの手を取りもう片方の手指も力を込め。折る。


 「う、ぎぃいいいいい。ぎいいいいいい!?罪もない一般人を大空へ投げ出したことといい……やらんかよりおぬしの方が余程質の悪い悪党でござる……」


 ランカの恨み言にアークは首を傾げ舐め腐ったように口を開く。


「あー?何言ってやがんだ?周りを見て見ろよ」


 アークの言通り周囲にはまばらに人影が戻っていた。更に言えばだれも大した怪我をしていない。


「馬鹿な……!?これは一体何事でござる!?」


「だから、よく見ろって」


 上を見ると次々と打ち上げられた人々が帰って来る誰も彼も高所からの落下の筈だが。


「ぬぅん!ヌーベル特有ヒーロー着地!」


「ずぇい!史上最強の師匠ケンジ32話の受け身ぃ!!」


「どぉりゃあ!72の殺人技!豚肉バスター!」


 みな次々と自身の情熱を向けるものを利用した着地を決め。無傷でやり過ごしていた。


「な?アタシはオメェより信じたのさ。人の情熱に燃えた時に発揮する力ってやつをな」


「ふふひ!バカバカしい。だがみな無事に戻ったなら都合がいい!ここからランカ様の大逆転が!」


 先程までの消沈ぶりが嘘のように息を吹き返したランカを腕をアークが手に取る。


「させるわけねーよなー?オメーはここで終わりだ。十字軍たちに食らわせたやつをオメーにもくれてやるよ……」


  告げられたランカは機械的な動きで首を動かすと訊ねる


  「それは、その。ビリビリでござりましょうか?やらんかタイプ的にそういうの避けたいのでござるが……」


「いくぞランカ!十万ボルトだ!!」


 アークの瞳に閃光が走り。ランカは次の瞬間の己の運命を悟り率直に自分の感想を叫ぶ


「な、なんだかとっても……やな感じぃ~~~~!でござるーーーー!!」


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